こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

陽だまりの彼女

otello2013-10-14

陽だまりの彼女

監督 三木孝浩
出演 松本潤/上野樹里/玉山鉄二/大倉孝二/谷村美月
ナンバー 251
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

風に揺れるモービルをせわしなく目で追う、興味がないと素知らぬふり、関心を持ったことには目を丸くして好奇心をむき出しにする。かまってほしいときには体を摺り寄せるけれど、相手の話はほとんど聞いていない。熱いコーヒーを飲めない・・・。気まぐれだけど一途なロインを上野樹里がしなやかに演じる。物語は10年ぶりに中学時代の同級生に再会した主人公が、彼女の魅力を再発見していく過程を描く。ふたりにとってはつらい過去も、共に過ごすうちに美しく懐かしい思い出に変わっていく。そんな恋の魔法の数々が、きらめくような映像に再現されていた。

広告会社に勤務する浩介は、取引先との打ち合わせに現れた真緒に驚くが、思い切って誘いのメールを出す。真緒は快く返事、ふたりは急速に接近しデートを重ねる仲になる。ある日、浩介は真緒の父から衝撃の事実を知らされる。

中学時代いじめられていた真緒を助けた浩介はクラスから孤立し、ふたりは仲良くなる。男女で一緒にいるのが恥ずかしくて仕方のない年頃なのに、真緒は浩介から離れない。浩介の何気ない優しさとただ浩介といるだけでほおが緩む真緒、すっかり忘却の彼方に置き去りにされていた出来事が浩介の脳裏によみがえる。ところが浩介の胸に真緒との記憶が蓄積されるに従って真緒がやつれていく。満ち足りた毎日に暗い影がよぎり、真緒が命を削って秘密を守ろうとする姿が哀しく、事情が呑み込めず葛藤する浩介の苦悩が切ない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

「偶然なんてないよ」と真緒が言った通り、すべては仕組まれた運命。幸福でいられる時間は短い、そして終わってしまえば浩介は真緒を忘れてしまう。はかなくも純粋な愛、それは浩介の頭から消されてもきっと心地よい感覚として知覚されているはず。明確な言葉や形で残っているわけではない、それでも浩介の思いと浩介への願いは永遠、そう信じる真緒の笑顔がまぶしかった。でも、猫に九生つきまとわれる浩介は幸せなのだろうか。。。

オススメ度 ★★★

↓公式サイト↓