こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

グリフィン家のウエディングノート

otello2013-10-23

グリフィン家のウエディングノート The Big Wedding

監督 ジャスティン・ザッカム
出演 ロバート・デ・ニーロ/キャサリン・ハイグル/ダイアン・キートン/アマンダ・セイフライド/トファー・グレイス/ベン・バーンズ/スーザン・サランドン/ロビン・ウィリアムズ
ナンバー 236
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

“青いピル”のおかげで、還暦をとうに過ぎても気軽にセックスを楽しめるようになった昨今、男は体力の続く限りベッドの上で奮闘する。ところが、彼を見て育った子供たちは、大人になっても何かが心に引っ掛かり、性生活から距離を置いている。物語はそんな父の血をひかない養子の結婚パーティに集った家族が、それぞれの葛藤を胸に抱えつつ、己の生き方を見つめ直す姿を描く。もはや老境に達した20世紀の名優たちがいまだ“現役”の男女に扮し、セックスこそが人生を豊かにしてくれる最大の娯楽であるとアピールする。

グリフィン家の次男・アルの結婚式に出席するために、父・ドンと同棲相手のビービーが暮らす郊外の豪邸に一家が再集合する。しかし、ドンは家族の前でビービーを愛人呼ばわりしたため、ビービーは怒って席を立つ。その上、性欲旺盛なドンは前妻・エリーと縒りを戻してしまう。

もちろんドンは、ビービーもエリーも子供たちも愛している。だがその奔放すぎる言動が時に相手を傷つけている事実に気づいていない。もしくは気づいた時にはもう手遅れ。一方で、家族もドンに悪気はないとわかっていても、ポロリと漏れる彼の本音に不快感を隠せない。家族だから許せること、家族だから許せないこと、その紙一重の差が分からず後悔を繰り返すドン。成長しきれない部分と年齢相応のおおらかさが同居する、常人には測りがたい感性や価値観を持つアーティスト・ドンを、ロバート・デ・ニーロがチャーミングな笑顔で演じていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ドンの息子はイケメン医師なのに女との恋愛経験はなく、娘も不妊治療のせいで性的なものを嫌悪している。優秀なアルでさえ、どこか本当の自分を偽っているような陰がある。ドンがオープンであるほど、周囲の人間は何かをため込むという矛盾が、家族といえども所詮は他人、人間関係を良好に保つためには愛だけでは足りないと訴える。あくまでコメディタッチの映像が、深刻さを取り除いてくれていたのが救いだった。。。

オススメ度 ★★*

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