こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

42 世界を変えた男

otello2013-11-09

42 世界を変えた男

監督 ブライアン・ヘルゲランド
出演 チャドウィック・ボーズマン/ハリソン・フォード/ニコール・ベハーリー/クリストファー・メローニ/アンドレ・ホランド
ナンバー 268
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

「ニガーニガーニガーニガー・・・・・・」露骨な差別語に平静を乱され凡打を連発する主人公。その憤りはベンチ裏で爆発し、バットを壁に叩きつける。そんな彼に、ここが辛抱のしどころとたしなめるオーナー。“やられたらやり返す”のではなく、“やられてもやり返さない”のが本当の勇気だと象徴するシーンだ。物語は球史に名を刻む黒人初のメジャーリーガー ジャッキー・ロビンソンの苦難の戦いを描く。黒人ファンの拍手を支えに白人からの罵声に耐え、ひたすらフェアプレーに徹しつつも結果を出す彼の姿は、やがてチームメイトに仲間と認めさせ、白人ファンの意識を変え、マスコミを動かす。そして球界全体に人種差別は恥ずべき行為であると理解させていく。

ブルックリンドジャースオーナーのリッキーはチームに黒人選手を入団させることを決断、ジャッキーに白羽の矢を立てる。マイナーリーグで抜群の成績を残したジャッキーはメジャーに昇格するが、ほとんどのチームメイトから白眼視される。

類まれな選球眼で四球を選ぶと、二盗三盗と走りまくって制球の定まらない投手に揺さぶりをかけ、ボークを誘う。甘いコースの球はスタンドに放り込む。慣れない一塁手の守備でも相手走者のスパイクにひるまない。走攻守そろったジャッキーに対し、チームメイトはただ肌が黒いというだけで偏見を持ち排除しようとするのがばからしくなる。それでもなかなか白人たちは価値観を変えられない。ジャッキーを罵り続ける敵監督に文句をつけに行った選手の行動が他の選手を奮い立たせるのみならず、マスコミやファンも目覚めさせるエピソードは、少しの勇気と良心が人をより良い方向に導くと証明する。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ジャッキーはあくまで白人との対立を避け、よき人間として振る舞う。 “怒り”を抑制し、誤りに気付かせるために理性に訴える道を選ぶのだ。もちろんこの時代、我慢するしか選択肢はなかったのだろう。“怒り”前面に出し自由に生きる権利を勝ち取ったモハメド・アリの先人に、こんな人もいたのだと改めて教えられた。。。

オススメ度 ★★★

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