こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

セッションズ

otello2013-11-15

セッションズ The Sessions

監督 ベン・リューイン
出演 ジョン・ホークス/ヘレン・ハント/ウィリアム・H・メイシー/ムーン・ブラッドグッド/アニカ・マークス
ナンバー 260
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

首から下は筋肉が麻痺しているのに感覚は正常なまま残り、生殖器は健全に機能する。手も足も動かせないのに、勃起し射精もできる残酷な皮肉。物語は幼少期にポリオで肢体の自由を失った男が、セックスを通じて生きる意味を模索していく姿を描く。起き上がれずストレッチャーから見える風景が世界のすべてだった彼にとって、初めて知った女の肉体は宇宙の深淵そのもの。だが、不器用でうまくコントロールできないけれどなんとか性行為を完遂しようとする主人公と、彼に寄り添う“サロゲート”の関係はビジネス。彼女はあくまで代理人、愛だと勘違いしてはいけない。そんな障碍者の気持ちが切ない。

寝たきりの要介護のマークは、障碍者の性生活をリポートしたのをきっかけに、自身もセックスへの欲望が目覚める。マークはセックスセラピストのシェリルに連絡を取り、彼女から手ほどきを受ける。

厳しい両親に育てられカトリックの信仰も篤いマークは性をタブー視し、いまだ未経験のまま。シェリルとの初セッションでは裸になっただけでイってしまう。2回目はもう少し我慢できるが、なかなか挿入にまでは至らない。そのあたり、まさに“授業”のようで、ムードを盛り上げる演出をシェリルは一切しない。それは顧客との恋愛を予防する措置なのだろう、少しは女体に触れ愛撫の必要性をマークは学ぶが、挿入と射精にのみにテーマを絞った2人の交流は味気ないほどあっさりしている。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

もちろん一度限りの“デート”や詩のプレゼントといったハプニングもあるが、障碍者のセックスをのぞき見する後ろめたさを観客に感じせないように、映画は真面目にマークの体験を綴っていく。そこには、ヘレン・ハントのセクシーさ皆無のヌードに象徴される、興味本位ではない姿勢がうかがえる。ただ、障碍者にとってもセックスは人生の喜びであり性欲は恥ずべきものではないことを表現するのなら、ユーモアにくるんだほうが馴染みやすかったと思うが。。。

オススメ度 ★★*

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