こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・コール 緊急通報指令室

otello2013-12-08

ザ・コール 緊急通報指令室 THE CALL

監督 ブラッド・アンダーソン
出演 ハル・ベリー/アビゲイル・ブレスリン/ モリス・チェスナット/マイケル・エクランド/マイケル・インペリオリ
ナンバー 293
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

拉致され自動車のトランクに閉じ込められた少女からの通報を受信した電話オペレーターは、彼女の命を守るためにあらゆる手立てを尽くす。狭く暗い密室でパニック状態になった少女が冷静になるように宥めすかし、現在位置を特定するための手段を講じる。だが、オペレーターにとっても初めての事態、前例はなく手探りで対応を考えなければならない。少女の命は一本の電話という細い線でかろうじてつなぎとめられている、持てる知識と経験を総動員して少女を励まし、犯人逮捕のヒントとなる情報をつかもうとするヒロインの極限の戦いがスリリングだ。そして無力感の中で希望を与え続ける苦悩とのしかかる重圧、それらとの葛藤がリアルに再現される。

ショッピングモールで男に襲われたケイシーは911通報、電話を受けたジョーダンは彼女に救出を求めるサインを出すように指示する。ところが、警察よりも先に犯人に気づかれ、犯人は新たなクルマに乗り換えてしまう。

ケイシーはテールランプを壊して手を振ったり、ペンキを道路に流して周囲のドライバーに異変を知らせようとする。それらを察知した善意の第三者が意外にも見て見ぬふりをせず協力的。中流の家族も高級車のビジネスマンもガソリンスタンドの従業員も、自らに危険が及ぶかもしれないのに見逃すことができない。変質者もいるが正義感に駆られ行動する人も多い、そんな米国人の善意の気質がきちんと描かれているところに好感が持てた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて警察の裏をかいた犯人は姿を消し、ケイシーも消息を絶つ。ここでもジョーダンの職責を超えた責任感がケイシー発見を促す。捜査は彼女の仕事ではないが、一度関わってしまった以上、手を引けない。研ぎ澄まされた聴覚が彼女をケイシーの元に導きいていく過程はミステリーの要素も加わって緊迫感を高めていく。恐怖に駆られ泣き叫んでいるだけだったケイシーが瞳に残酷な光を宿らせて、最後に“倍返し”するのも爽快だった。

オススメ度 ★★★

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