こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

エージェント:ライアン

otello2014-01-21

エージェント:ライアン JACK RYAN: SHADOW RECRUIT

監督 ケネス・ブラナー
出演 クリス・パイン/キーラ・ナイトレイ/ケヴィン・コスナー/ケネス・ブラナー/コルム・フィオール/デイヴィッド・ペイマー
ナンバー 14
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

日々集まる膨大な情報を解析し、すぐ先の未来で何が起きるのかを予想する。それが祖国によからぬ事態をもたらすことならば、事前に阻止するために実行部隊の派遣を要請する。そんなCIA分析官が感づいた巨大な国際的経済テロ、調査のために現地に赴いた主人公はさらなる陰謀に巻き込まれ否応なく現場のエージェントなる。初めての人殺し、初めての偽装、そして命がけの追跡劇。そこではオフィスでデータを扱っているのとは違う虚々実々の駆け引きがあり、時に腕力がモノをいう。映画は専門の訓練を積んでいない新人工作員が、天性の度胸と行動力で自らの資質を証明していく姿を描く。葛藤よりも信念、良心よりも忠誠、個人よりも国家を優先させなければならない、殺人マシーンではない血の通った生身の人間の苦悩がリアルに再現される。

911を期に海兵隊に志願したジャックはアフガンで重傷を負うが、除隊後CIAにリクルートされる。身分を隠し金融アナリストとなったジャックはロシアの実業家・チェレヴィンの不穏な動きを察知、モスクワに飛ぶ。

突然ボディガードから銃撃され、必死の反撃を試みるジャック。洗練された格闘術を身につけていないジャックは巨漢のアフリカ人を相手に苦戦するが、なんとか撃退する。死体を前に動転し、救援を請い、逃げ回るが、一度足を踏み入れた血なまぐさい世界からもう後戻りできないという現実をジャックはなかなか受け入れらない。その上ジャックの正体を知らない婚約者がいきなりホテルに訪ねてきたりする。危機の対処法を教えられぬまま手探りで生き延びようとするジャックの孤独が息をのむ緊迫感となってスクリーンからほとばしる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて婚約者の協力と援護チームを得て、ジャックはチェルヴィンのオフィスから機密を盗み出す任務を背負う。スピードとタイミング、演技力と大胆さ、チームのサポートを頼りに警戒厳重なインテリジェントビルに忍び込むシーンはあくまでスマートだ。なによりも暴力はやむを得ないときだけ最小限に行使するジャックの行動規範は、トム・クランシーの生んだキャラクターをきちんと継承していた。

オススメ度 ★★★

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