こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ローン・サバイバー

otello2014-01-22

ローン・サバイバー LONE SURVIVOR

監督 ピーター・バーグ
出演 マーク・ウォールバーグ/テイラー・キッチュ/エミール・ハーシュ/ベン・フォスター/エリック・バナ
ナンバー 13
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

砂まみれになりながら這いずり回り、手足を縛られたまま水中に投げ込まれ、様々な筋力トレーニングを己に課す若者たち。失意のうちに脱落の鐘を鳴らす者を尻目に、命がけの過酷な訓練課程を終えたもののみが選ばれる特殊部隊・SEALS、映画は偵察任務に赴いた4人の隊員の決死の脱出行を描く。切り立った崖に追い詰められて飛び降りた先はむき出しの岩肌、身を護るのは筋肉の鎧だけという状態で硬い岩盤に落下しさらに転がり落ちる。銃創よりも痛いのではないかと思わせる激しい衝撃を受けても、次の瞬間には起き上って走ろうとする。傷ついてもへばらない強靭な肉体と決してあきらめないタフな精神、ここには米軍最強部隊の神髄が凝縮されている。

アフガン山中のタリバン秘密基地に向かった4人の隊員はヤギ放牧人と遭遇し作戦を中止、撤退。だが100人を超すタリバン兵に追跡される羽目になる。救援を要請するが電波状況が悪く、4人は敵地に孤立する。

いかに鍛えているSEALS隊員とはいえ険しい岩場や山林では思うように足が動かず、すぐに山道に慣れ親しんだタリバン兵に追いつかれてしまう。装備や射撃術では勝るものの圧倒的な人海戦術の前にSEALSたちは一人また一人と被弾し、骨折し、力尽きていく。その過程はドラマティックな演出とは無縁、あくまで現状から活路を見出そうとする姿に焦点を当て、彼らが何をし何を思ったかを忠実に再現する。それはまさに戦場のリアリティ、感傷も絶望もなく体に叩き込まれた生存本能が全身からほとばしる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ一人生き残った狙撃兵のマーカスは川で民間人に助けられ、彼らの村で手厚く看護される。服装外見からは反米親米の見分けがつかないアフガン人を敵視するマーカスが、やがて警戒心を解き、最後には自分を守ってくれた村人と少年に礼を言う場面に、この地での軍事行動の難しさが象徴されていた。

オススメ度 ★★★*

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