サンブンノイチ
監督 品川ヒロシ
出演 藤原竜也/田中聖/小杉竜一/中島美嘉/窪塚洋介/池畑慎之介/木村了
ナンバー 45
批評 ネタばれ注意！ 結末に触れています
騙したつもりの裏をかき、手玉に取っているつもりを出し抜く。裏切りと欺瞞、知略と罠、自分がいちばんずる賢いと思っている悪党たちの上を行く作戦で、落ちこぼれ男3人組は人生最大の危機を切り抜けようとする。あるはずのカネが消え、なかったはずの友情が生まれるなかで繰り広げられる虚々実々の駆け引きは、息詰まるどんでん返しのオンパレード。信じられるのは誰なのか、本当の敵は誰なのか、謎と疑問だらけのまま物語はどんどん先に突き進む。その圧倒的なスピード感と強引かつ目まぐるしい展開、これでもかと詰め込まれた小ネタの数々に翻弄されてしまった。チンピラヤクザ風の窪塚洋介が大仰な演技に一層磨きをかけ、アイスピックを使った暗殺術が破壊的な魅力を発散させる。
売り上げを紛失したキャバクラ店長のシュウは、博打で借金まみれのボーイ・コジと破産寸前の常連客・建さんを誘い銀行強盗を実行、奪ったカネ1億6千万円とともに店に逃げ込む。だが、カネの分配率をめぐって3人は仲間割れする。
シュウに計画を示唆したのはキャバ嬢のマリア、背後ではオーナーの破魔翔が糸を引いている。さらにカネの臭いを嗅ぎつけた裏社会の金貸し・渋柿が首を突っ込んでくる。破魔と渋柿双方に弱みを握られているシュウはカネの横取りを狙う2人を巧みに天秤にかけ、敵対させるべく一芝居うつ。一方で、コジや健さん、マリアの不満と不安を取り除いてやらなければならない。そんな複雑極まりない設定を理解させるために説明的になるきらいはあるが、張り巡らせた伏線を後半になって一点に収斂させていく手際はサービス精神にあふれ、一時も気を緩められない。
◆ネタばれ注意！ 以下 結末に触れています◆
また、進行中の現在と過去を並行させ、結末から後戻りして種明かしをするという時制のシャッフルは初期のタランティーノ作品を思わせるほど刺激に満ち、最後の最後まで誰が笑うのかわからない。何より、映画への愛をほとばしらせた熱気ある映像は心地よかった。。。
オススメ度 ★★★*
