こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

グランドピアノ 狙われた黒鍵

otello2014-03-11

グランドピアノ 狙われた黒鍵 GRAND PIANO

監督 エウヘニオ・ミラ
出演 イライジャ・ウッド/ジョン・キューザック/ケリー・ビシェ/ タムシン・エガートン/アレン・リーチ
ナンバー 57
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

いわくつきのピアノ、完奏不可能といわれる難曲、声だけの狙撃者etc. 失敗のトラウマから極度に神経質になったピアニストに更なるプレッシャーがのしかかる。絶対にミスが許されない、退路は断たれた、そんな状況で頭をフル回転させて、打開策を練らなければならない。物語はコンサートの途中で命を狙われる羽目になった男が、緊張や重圧と戦いながら突破口を探る姿を描く。スリルとサスペンスに満ちた展開の中、演奏中に様々な強迫と指示を与える狙撃者の声が不快極まりない上、彼に弾かされる激しくのたうつ曲想が心をかき乱す。主人公の逆なでされた感情がこれほどまでにリアルに再現され、共有できる映画も珍しい。

5年ぶりに表舞台に復帰したトムは、受け取った楽譜に奇妙な書き込みを見つける。かつて自信喪失に追い込もれた曲をノーミスで演奏しなければ殺すという言葉と共に、狙いを定めたレーザー光が脅しではないと彼に知らせる。

トムは狙撃者に気づかれないように助けを呼ぼうとする。鍵盤をたたく指を止めずに狙撃者と会話しながら、ケータイを発信したりメールを打つトム、それらをこなす恐るべき器用さはもはや超人的にも見える。一流のピアニストは音楽に集中すると他の雑念にはとらわれないと思っていたが、3つのことを同時進行するなど実際にできるのか。というか、狙撃者が彼の気持ちをいたずらに刺激すると、それだけ指が滑る可能性も高くなると思うのだが。。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

また、トムはコンサート開始時間直前に会場入りし、いきなり本番に臨むが、ピアノの音や鍵盤のタッチを確認しなくて大丈夫なのか。調律師の腕は確かかもしれない、それでも倉庫に眠っていたピアノの固有の癖などはある程度はつかんでおかないといい音は出せないはず。まあ、トムは常識を超越した天才だからこそ、狙撃者に鍵盤の鍵を開ける役に指名されたのだろう。着想はユニークでテンポの良いストーリーテリングはぐいぐいと見る者を引っ張っていくが、もう少しディテールを詰めてほしかった。。。

オススメ度 ★★

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