こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

リベンジ・マッチ

otello2014-03-14

リベンジ・マッチ Grudge Match

監督 ピーター・シーガル
出演 ロバート・デ・ニーロ/シルベスター・スタローン/ケビン・ハート/アラン・アーキン/キム・ベイシンガー
ナンバー 60
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

だぶついた肉体は絶対に見せない。その決意の結晶ともいえる隆起した三角筋、翼を広げたような広背筋、大胸筋と腹筋はわずかに緩んでいるが、筋肉の鎧に覆われた上半身は年金世代とはとても思えない引き締まり方。70歳に手が届くシルベスター・スタローンのビルドアップは驚異的だ。節制と鍛練とおそらく大量のサプリメント、徹底した自己管理で人間はここまでアンチエイジングできるという証明になっている(まさかCGではあるまい)。そして、もう何度目になるだろう、引退したはずのリングに上がる主人公に扮する。ボクシングこそ彼の原点、殴り合いこそ彼の本能、そう想起させてくれる物語の展開に胸が躍る。もちろんストーリーの先は読める、だが落としどころにきちんと落とす演出もまた心地よい。

30年前に王座を争ったレーザーとキッドに再戦話が出る。キッドを嫌い一度は拒否したレーザーだがリストラに遭ったため挑戦を受ける。そこにかつての恋人・サリーが訪ねてくる。

老トレーナーに練習メニューを作ってもらい、生卵を飲んでのロードワーク、ガラクタを使って体幹を鍛えるおなじみのトレーニングに精を出すレーザー。枝肉打ちだけは寸止めされるが、それらのシーンはまさにあの時代を回顧するかのよう。女の扱いに不器用だったり、“犬”を大切にしていたり、視力の問題など小ネタに至るリスペクトには膝を打つ。一方、ロバート・デ・ニーロが演じるキッドも、ステージでのトークや減量苦など、彼のキャリア最高傑作を連想させる。その過程で、レーザーは失った恋を、キッドは知らなかった父子の関係を取り戻す。プライドをかけて戦う以上に家族を再生させ、人生にやり残したことはないかとこの作品は問いかける。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

いよいよゴングが鳴り、相変わらず防御を無視した強烈なパンチとダウンの応酬は刺激的でラストまで飽きさせない。大人げなくケンカもするけど最後はやっぱり友情も芽生える、こんなジジイになりたいと憧れさせてくれる映画だった。

オススメ度 ★★★*

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