こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ラスト・ベガス

otello2014-03-17

ラスト・ベガス LAST VEGAS

監督 ジョン・タートルトーブ
出演 マイケル・ダグラス/ロバート・デ・ニーロ/モーガン・フリーマン/ケビン・クライン/メアリー・スティーンバージェン
ナンバー 59
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

仕事も家族ともそれなりにうまくいった。悲喜こもごもあったけれど、そこそこの人生に大きな不満はない。しかし、若いころのように胸が躍る体験をしなくなって久しいが、今も未知の刺激を求めている。映画はそんな老人たちが、旧友の1人のためにバチェラーパーティを開く過程で、友情を確かめ本当の愛に目覚める姿を描く。機敏には動けないが年寄扱いされるのも耐え難い。“心が体の老いを受け入れない”という言葉が、高齢化社会を生き抜かなければならないリタイア世代の心情を象徴していた。さらに、親友だから身を引いたのに、その“情”は相手を傷つけている。わだかまり中でもう一度少年時代に戻ろうとする彼らが愛おしい。

サム、アーチー、パディの3人は悪ガキ仲間だったビリーの結婚式のためにラスベガスに向かう。パディは、妻・ソフィの葬儀にビリーが欠席したことを根に持っていたが、アーチーがカードゲームで大勝し、最高級スイートにチェックインする。

ビリー、サム、アーチーは大いに楽しもうと高級クラブでナンパに精を出す。3人がチンピラに絡まれているところをパディが助けたあたりからパディもビリーに対する態度を軟化させていく。翌日、盛大なパーティで独身最後の夜を祝おうとするが、そのスケールが桁違いで、ソフィを亡くした喪失感からいまだ立ち直れないパディですら少し癒される。お祭り騒ぎが日常のラスベガスの空気が巧みに再現されていた。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、パディはビリーがずっと抱えていたソフィとの秘密を知り再び怒りをあらわにする。ビリーがこの年まで結婚しなかった理由もソフィへの思いからだが、パディは原因が自分にあったのが許せないのだ。そして、売れないクラブ歌手・ダイアナをめぐる三角関係に同じ轍を踏まないように気を使いあう2人、彼らの言動に60年近い友情の本質が見えた。片方が重荷に感じるほどの貸し借りは作らない、それが対等な関係が続く秘訣だとこの作品は訴える。

オススメ度 ★★★

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