こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ロボコップ

otello2014-03-19

ロボコップ ROBOCOP

監督 ジョゼ・パジーリャ
出演 ジョエル・キナマン/ゲイリー・オールドマン/マイケル・キートン/アビー・コーニッシュ/ジャッキー・アール・ヘイリー
ナンバー 62
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

黒い艶消しのボディに赤いラインが入ったヘルメット、デザインも機能もより洗練され、手足を動かすときに生じる油圧装置等の摩擦音が機械であると主張する。危険を察知するプログラムは瞬時に敵を識別・排除し、脳に転送された膨大なデータベースが群衆に紛れた犯罪者をあぶりだす。人間の脳と人工の体を持つ警官、オリジナルが作られた当時はSFとしか思えなかったが、無人機による偵察・攻撃、ロボット兵などが実現した今日ではリアリティが感じられた。そして、100%ロボットの警官を他国には積極的に売り込むのに、国内の導入には二の足を踏む米国世論の身勝手さが印象的だ。

武器横流し事件を捜査中のマーフィは爆弾で瀕死の重傷を負う。かろうじて損傷の少ない頭部は人型ロボットに移植され、彼はロボコップとして再生。マシーンに警官の仕事を任すといった倫理上のハードルをクリアして、デトロイト市警に配属される。

意識は自分のものであるはずなのに、脳内ホルモンをコントロールされて感情を低下させるマーフィ。折角の妻子との再会も犯罪撲滅を優先して彼らを失望させてしまう。超人的な能力を与えられた反面、所詮は命令通りにしか動けないロボットの宿命。それでも意志の力で愛情を取り戻し、家族への思いを行動に移そうとする。そのあたりの苦悩や葛藤はもはや手あかが付いた感があり、多少は共感できても古臭さは否めない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

映画は時折、サミュエル・L・ジャクソン扮するTVキャスターによる、ロボット警官キャンペーン映像が挿入される。それは市民の安全を守る以上に監視社会の容認でもある。当局の拡大解釈によっていつ自由が制限されるともしれない、マーフィが市内の全監視カメラを勝手にモニターするシーンに、ロボット警官は民主主義の根幹にかかわる問題であることが象徴されていた。極悪犯罪者ばかりを摘発しているうちはいい、ミスすれば己の存在価値自体を問われかねない。こんなジレンマの中で生きていかなければならないロボコップ=マーフィが不憫でならなかった。あと、動きにロボットらしいぎこりちなさがなくなったのはやっぱり寂しい。。。

オススメ度 ★★

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