こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像

otello2014-04-02

チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像

監督 星野和成
出演 伊藤淳史/仲村トオル/桐谷美玲/松坂桃李/西島秀俊/栗山千明/生瀬勝久
ナンバー 76
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

40年近く前に一度見たきりでもうタイトルも忘れてしまったが、火葬した母親の遺灰の中に手術用の鉗子を見つけた兄妹が、手術した医師に復讐する単発のTVドラマがあった。この映画もまったく同じシチュエーションで始まり、親しい人を医療ミスで失った遺族の恨みは、過失を認めない医師たちに向けられる。人命を預かる職業、高潔な倫理観が必要とされるのに、実態は製薬会社や厚生労働省と癒着し、己の利益ばかりを追い求め反省はない。ただ一言謝ってほしいだけなのに、患者の声に耳を貸さない。物語はそんな医療関係者に鉄槌を下す犯人と、さらなる犯罪を防ごうとする医師と役人コンビの活躍を描く。根は真面目で人情にも篤いのに、過去の蹉跌から偽悪者になった主人公を仲村トオルが軽快に演じている。

高名な医師を含む9人の医療関係者が死体で発見され、新型高性能MRIが警察もわからなかった彼らの死因を突き止める。大量殺人事件と判断した厚労省の白鳥は、相棒の田口医師と唯一の生存者を守ろうとする。そこに、医療ジャーナリスト・別宮が田口に接近する。

同時に高性能MRIを破壊するという脅迫状も舞い込み、白鳥らは解決の糸口を求めて奔走する。その過程で、殺された医師たちが開発に関わった新薬の副作用で重篤な病状に陥った患者がいることが明らかになる。医学の進歩・多数の命を救うためには少数の犠牲はやむを得ないのか、厳しい選択を迫られる医師たち。もちろんすべての医師たちが利己的なのではなく、救命に身を粉にする医師も登場させ、大規模病院は決して腐りきった世界ではないと訴える。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

意外な犯人と動機、医療現場の闇。大量殺人と爆破予告、別々の事件は高性能MRIこけら落しシンポジウムを舞台に1つに収斂していく。だが、どちらの犯行も、実行犯にあんな大事件を起こせるほどの技量や行動力・資金やバックアップがあるとは思えず、絵空事のよう。犯人のキャラクターにリアリティがないのが残念だった。

オススメ度 ★★

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