こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

超高速!参勤交代

otello2014-04-05

超高速!参勤交代

監督 本木克英
出演 佐々木蔵之介/深田恭子/伊原剛志/寺脇康文/上地雄輔/知念侑李/柄本時生/六角精児/市川猿之助/石橋蓮司/陣内孝則/西村雅彦
ナンバー 71
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

豪奢な生活に明け暮れ私腹を肥やすことに懸命な幕府中枢の老中と、大根の漬物と焼き魚という質素な食事に満足する小大名。圧倒的な力の差に、無理難題を吹っかけられても逆らえず、武士の気骨を見せるには従うしかない。目的地までの遠い道のり、ひたすら街道を走り、山道を抜け、役人の目をごまかし、敵の襲撃をかわし、刻限に間に合わせようとする。物語は、領国に戻ったばかりの藩主に疑惑がかかり、家臣たちと共に再び江戸へと急ぐ姿を追う。もはや財政は破綻寸前、知恵を絞り体を張って活路を見出そうとする田舎侍がユーモラスだ。そんな彼らが道中様々な人々との出会う過程で、あらゆる階級の人々が幸せな世の中とはどういうものかと問う。

江戸から磐城に帰った藩主・政醇の元に、5日以内に江戸に参勤せよとの下命が来る。準備もほどほどに、政醇は家老の相馬ら6人の側近ともに忍びの段蔵の案内で江戸への近道を抜ける。同時にわずかな予算で中間をかき集め、大名行列の体裁を整えなければならない。

気詰まりな江戸勤めを終え、故郷の空気を吸った藩士たちは解放感を味わう。小藩ゆえ、百姓に声をかけられると、政醇も気軽に応じる平和な田舎の風景が微笑ましい。翌日磐城を発った8人は、幕府役人が見張る宿場の直前までは軽装の旅人のいでたちで、大名の一行とは程遠い雰囲気。極力節約しようと建前を使い分ける彼らのつつましいアイデアに目を見張る。一方で足を負傷して別行動をとる政醇は旅籠の女郎・お咲から庶民の暮らしの苦しさを聞かされ同情、彼女の物怖じしない態度に魅力を覚える。身分を隠した殿様の密かな恋も定番、コミカルな中にも人情を絡ませる展開が手練れを感じさせる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後も、老中が放った刺客部隊、段蔵の現実主義と心変わり、そして刀槍弓矢手裏剣爆弾を駆使した大がかりな殺陣と息つく間もない見せ場の連続。合間に、幽霊のごとき相馬や藩士たちが褌一丁の飛脚に偽装するなど、ヤマ場も笑いも盛りだくさん、安心して楽しめる時代劇だった。

オススメ度 ★★★

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