こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ポンペイ

otello2014-04-17

ポンペイ POMPEII

監督 ポール・W・S・アンダーソン
出演 キット・ハリントン/エミリー・ブラウニング/キーファー・サザーランド/キャリー=アン・モス/アドウェール・アキノエ=アグバエ/ジェシカ・ルーカス
ナンバー 83
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

大地が裂け、石積みの建物が崩れ、断崖が削られる。噴煙は天空を覆い、火山弾が降り注ぎ、火砕流が町を直撃したあと、灼熱の溶岩が押し寄せる。停泊中のガレー船と整備された港は津波に飲み込まれる。2000年近い昔、火山の噴火によって一夜にして滅んだ都市、人々は最期の日に何を思い何をしたのか。物語は、力尽き灰に埋もれた彼らの、生き残ろうと奮闘した姿を描く。予知技術もなく、天災は神の怒りと考えられていた時代、愛に目覚めた男は女を救うために走り、自由を夢見た男は剣を取って戦う。たとえ大自然の脅威にさらされた絶望的な状況でも、希望を捨てず信念を貫けば魂は解放されるとこの作品は教えてくれる。

ローマ軍に敗れ奴隷となったマイロは屈強のグラディエーターに成長しポンペイに売られ、そこで有力者の娘・カッシアと出会う。やがて剣闘士の試合が始まると、郊外のベスビオ山に異変が起きる。

対戦相手を殺すことで生きながらえてきたマイロは誰にも心を開かず、同房になったアティカスともいつか対決するのを予想して話に乗らない。一方で、貴族の屋敷に呼ばれたマイロは元老院議員・コルブスから言い寄られるカッシアの悲しみを知る。他人に殺生与奪権を握られた者同士が束の間の交流を持つが、ふたりの身分差は埋めがたく、マイロは鞭打たれるのみ。このあたりの彼らの関係はやや強引ではあるが、地鳴りが強くなるにつれ彼らの絆は強固になっていく。それはこんな破滅的な事態でも発生しないと不遇な運命から逃れる機会がないとわかっているから。今が力の限り生きるべきと覚悟を決めたふたりの表情が凛々しい。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ベスビオ山は本格的に活動を開始、ポンペイの町は断末魔の悲鳴に包まれる。その壮大なスペクタクルを背景にした、時間が止まったからこその永遠の愛。リアルな映像で再現された天変地異の中で繰り広げられるロマンス、まさにハリウッドの本流ともいえるパニック映画だった。

オススメ度 ★★★

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