こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

アメイジング・スパイダーマン2

otello2014-04-28

アメイジングスパイダーマン2 The Amazing Spider-Man 2

監督 マーク・ウェブ
出演 アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/ジェイミー・フォックス/デイン・デハーン/キャンベル・スコット/ポール・ジアマッティ/サリー・フィールド
ナンバー 98
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

曲線軌道を描きつつ落下と急上昇を繰り返す主人公の視点が、目を見張る加速と胃液が逆流するような浮遊感を体感させてくれる。3D加工された映像と増幅されたサウンドは映画館にいながらにしてUSJのアトラクションに乗っているよう。そこには重力から解放された喜びよりも、むしろ何かに急き立てられているごとき悲壮感すら漂う。今回も舞台はNY、スーパーヒーローとして生きるべきか、恋人との時間を大切にすべきか迷う彼に新たな敵が襲い掛かり、壮絶なバトルが繰り広げられる。その光景は“amaging”というよりも“too much”、見ているだけで相当体力を消耗する。

感電した電気技師・マックスは電気を操る怪人に変貌、余命短いハリーと共謀してスパイダーマンの命を狙う。一方、グウェンとの将来に悩んでいたピーターは父が隠した遺言動画を発見する。

自己承認欲望の強いマックスは誕生日を祝ってくれる友人もいない孤独な男。人の良さが災いして上司からはいいようにこき使われている。ハリーは不治の病でに肉体を蝕まれているばかりか、腹心の部下に裏切られる。ピーターはスパイダーマン活動に疑問を抱き始めている。ところがグウェンは進むべき道を見つけ、メイおばさんも守るべき優先順位に揺るぎはない。男たちが明確なアイデンティティを抱けずにさまよっているのに、女たちはシンプルに決断して行動に移す。もちろんフィジカルでは女は弱い存在、だがメンタルでは男よりずっとタフで成熟している。精神面で男たちは草食化し、女たちは肉食化する。米国でも日本と同様の現象が起きているのかと興味深かった。。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一度はグウェンを選んだピーターだが、マックスの挑戦に応じてしまう。蜘蛛の糸と電撃の激しい攻防に、アーマースーツに身を固めたハリーも参戦し、スパイダーマンは苦戦を強いられる。ただ、あまりにも強烈な刺激と過剰なまでの情報量は、並の人間の感覚では処理しきれないと思われるほど膨大。いつの間にか五感が麻痺してしまい、大迫力アクションシーンにも興奮を覚えることはなかった。。。

オススメ度 ★★*

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