こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ママはレスリング・クイーン

otello2014-06-06

ママはレスリング・クイーン Les Reines du ring

監督 ジャン=マルク・ルドニツキ
出演 マリルー・ベリ/ナタリー・バイ/アンドレ・デュソリエ/オドレイ・フルーロ/コリンヌ・マシエロ/イザベル・ナンティ
ナンバー 123
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

まだまだ母親の愛情を必要としている時期にそばにいてやれなかった。疎遠だったわが子は再会しても心を開かず拒絶の視線をよこすだけ。そんな彼との接点を作るため、ヒロインはプロレスのリングに立つ決意を固める。エルボードロップ、ラリアート、ボディプレス…。プロレスは相手の大技を受け止めるショーアップされたエンタテインメントという定義の元、彼女は同じく思い通りにならない日常に倦んだ仲間を集めて新たな自分探しを始める。肉体を酷使した後の心地よい疲労感、豪快な必殺技が決まった時の爽快感、多くの人々に注目される緊張感。何もかもが新鮮な体験に、彼女たちは生きる喜びを取り戻していく。フランスの地方都市、町を上げてプロレスをサポートするファンの声援があたたかい。

服役していたローズはスーパーのレジ係に職を得て、里親に預けていた息子・ミカエルに面会に行くが冷たくあしらわれる。ミカエルがプロレスおたくと知ったローズは職場のコレットジェシカ、ヴィヴィアンを誘い元レスラーのリシャールに弟子入りする。

バーで絡んできた男たちをぶちのめした動画がネットに流れ、彼女たちは一躍有名人になる。その後も地元の応援に応えるために練習に励む4人。ローズ以外の3人も私生活に問題を抱えているが、プロレスをしている間だけは忘れられる。特に容姿に恵まれないヴィヴィアンが悪役こそ個性を生かす道と気づくシーンは、特別な才能はなくても人間には他人から期待される役割があり、それをまっとうすることで未来は切り開けると教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて対戦相手となるメキシコ人たちが到着、試合直前にトラブルが起こってハラハラさせるのも“お約束”通り。満員のアリーナで、それぞれが自らのキャラクターを演じる衣装に身を包みカクテル光線を浴びる彼女たちは、自信と誇りに満ちていた。なによりも、やる気になれば年齢に関係なく人生を変えられると証明した彼女たちの雄姿がまぶしかった。

オススメ度 ★★★

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