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映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中

otello2014-07-03

DOCUMENTARY of AKB48 The time has come
少女たちは、今、その背中に何を想う?

監督 高橋栄樹
出演 入山杏奈/川栄李奈/小嶋陽菜/島崎遥香/高橋みなみ/武藤十夢/大島優子/松井珠理奈/山本彩/生駒里奈/柏木由紀/渡辺麻友/岡田奈々/峯岸みなみ/松井玲奈/指原莉乃
ナンバー 155
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ステージで歌って踊る夢は叶えた。今度は激しい競争に勝ち残らなければならない。もちろん精一杯の稽古はしている。だが、さらに上を目指すにはどうしていいのかわからない。スタートラインに立った者、羽ばたいていく者、希望をくじかれた者、挫折をチャンスと考える者。昨年大みそかの「紅白歌合戦」から大島優子のラストコンサートまで、映画はAKB48の様々な劇的瞬間に密着し、彼女たちのリアルな喜怒哀楽をとらえる。“自分のためにやってきたAKBをみんなのためにやるようになった”という大島の言葉が、AKBは修行の場であり、彼女たちにとっては人生そのものであることを象徴していた。

「紅白」生放送中に大島が卒業宣言しグループ内に衝撃が走る。2月の大組閣祭りではメンバーが大幅にシャッフルされ、悲喜こもごものドラマが繰り広げられる。そして3月、大島の卒業セレモニー当日、朝から嵐に見舞われる。-

大組閣祭り中、次々と仲間の所属チームが発表される中、なかなか名前が呼ばれず不安と期待が失意に変わっていくメンバーの表情を、カメラは残酷なまでに見つめ続ける。どれだけ頑張ったのか・頑張らなかったのかをシビアに問われるのだ。思わぬ抜擢に歓喜する者、地方グループへの“左遷”を受け入れられず号泣する者、その中で「泣いているより元気元気!」と己を慰め励ますメンバーの姿が印象的だ。“あきらめたら終わり、絶対に這い上がってやる”、彼女のブレのない上昇志向はかえってすがすがしい。まだ20歳前後の若さで普通の若者の数十倍も濃密な時間を体験できる彼女たちは幸せだ。そんな、夢を追い真摯に努力を続ける彼女たちを真正面から向き合う映像は、見る者の感情にストレートに訴えてくる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

総監督に任命された高橋みなみの奮闘ぶりがこの作品でも際立っている。200人を超えるメンバーをまとめ、常に先頭で引っ張っていく。卒業セレモニーが中止になった大島に声をかけ、暴漢に襲われた入山と川栄の思いを代弁する。アイドルとしての実力以上に彼女の人間としての魅力がまぶしかった。

オススメ度 ★★★

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