こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

オール・ユー・ニード・イズ・キル

otello2014-07-04

オール・ユー・ニード・イズ・キル
Edge of Tomorrow

監督 ダグ・リーマン
出演 トム・クルーズ/エミリー・ブラント/ビル・パクストン/キック・ガリー/ドラゴミール・ムルジッチ
ナンバー 152
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

目が覚めると昨日と同じ場所にいる。同じ兵士、同じ状況、同じ会話、デジャヴが彼を襲い、記憶と同じことがまた起きる。自分の頭がおかしくなったのか、時空が歪んでしまったのか、現実を直視すればするほど違和感に苛まれていく主人公の気持ちがリアルに再現される。出撃しては戦死する、何度も繰り返す昨日と今日、だが彼は少しずつ戦術を向上させていく。エイリアンに侵略された地球、物語はタイムループの能力を身に着けた男が使命に目覚め勇気をまとい行動に移していく姿を描く。失敗しても死んでしまえばスタート地点からやり直せる、ゲーム感覚の世界観がユニークだ。

対エイリアン戦争中、上官の命令に逆らって最前線に配属されたケイジは空挺部隊に参加する。しかし、エイリアンの待ち伏せにあい部隊は総崩れ、ケイジも一体のエイリアンを殺すが命を落とす。ところが気がつくと前日に戻っていた。

パワードスーツに身を包み降下する兵士たち。巨大なハリネズミのようなエイリアンの攻撃を受け、一人また一人と絶命していく。墜落する輸送機、激しく飛び交う銃弾、ケイジ目線の映像は戦場の体感よりも一歩引いたバーチャルリアリティにいる気分にさせてくれる。そこで出会った地球連合軍のジャンヌ・ダルク的存在のリタから意味ありげな言葉を聞いたケイジは、リセット後に基地で彼女を探しあて真実を告げられる。逃亡ばかり考えていた姑息なケイジが、運命を受け入れ徐々に責任感と仲間への思いやりを芽生えさせる過程が、非常時こそ人間を成長させると教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

リタもまたタイムループの経験者。時間を操るエイリアンの親玉・オメガを倒さなければ人類は滅ぼされると知ったケイジは、さらに数度のリセットを経て最終決戦に挑む。タイムループの原理自体がケイジに都合よくできている気もするが、観客がケイジと五感を共有できるロールプレイングゲームの構成が最後までスクリーンに目をくぎ付けにする。

オススメ度 ★★★*

↓公式サイト↓