こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ

otello2014-07-16

So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ 致我們終將逝去的青春

監督 ビッキー・チャオ
出演 マーク・チャオ/ハン・ゴン/ヤン・ズーシャン/ジャン・シューイン
ナンバー 161
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

怒らせると謝るまで嫌がらせを繰り返し、好きになると相手の気持ちなど考えずに思いを押し付ける。物語はそんな女子大生が学生生活の様々な体験を通じて成長していく姿を描く。雑然とした学生寮、恋バナと将来の夢を語り明かした4人部屋、整然としたキャンパスと厳しい教授や寮監。親元を離れ自由を謳歌しつつも、自分が何者であるのか答えを求めて悩む青春と友情の日々をカメラは誠実なまなざしで見つめる。日本では絶対に友達ができないと思われる強烈な自己主張を持つヒロインには圧倒された。

大学に入学したウェイは女子寮のルームメイトと早速仲良くなる。ある日、男子寮に友人を訪ねると、寮生のシアオチョンに突き飛ばされる。謝罪を要求するが拒否されるとウェイの行動はエスカレートしていく。

大嫌いなはずなのに気になって仕方ないのは恋の裏返しと知ったウェイは、今度は迷惑を顧みずシアオチョンに猛烈なラブアタックをかける。家が貧しくコネもないシアオチョンは禁欲的に勉学に励んでいるのに、ウェイはお構いなしに押しの一手。キャンパスの噂になってもまったく気にせず、シアオチョンが根負けするまで付きまとうのだ。このあたり、ウェイの強引さはシアオチョンでなくても嫌悪感を抱いてしまうほど。だが彼女のこんな性格は、卒業を控え社会に飛び立つときになって、世間はままならないと思い知らされる伏線として有効に機能していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

己の未来とウェイを天秤にかけたシアオチョンは米国に旅立つ。数年後、キャリアウーマンとなったウェイは初恋の男と再会、さらに帰国したシアオチョンに本心を告げられて動揺する。2人の男と2つの愛、そのはざまで揺れ動くウェイ。心のままに生きるべきか自重すべきか、年齢を重ねたからこそのウェイの選択とイルカに託したシアオチョンの告白。若さゆえの蹉跌というにはあまりにも切ない。思い出を懐かしむほどには成熟していない。いまだ人生半ば、迷える彼らの苦悩がリアルだった。

オススメ度 ★★★

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