こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ホットロード

otello2014-08-22

ホットロード

監督 三木孝浩
出演 能年玲奈/登坂広臣/木村佳乃/小澤征悦/鈴木亮平/太田莉菜/竹富聖花
ナンバー 194
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

夜明け前の街、静まり返った道路、赤く輝くテールランプ、きらめきを反射させる海。青春の残照というには若すぎる、思い出というには近すぎる。でも初めて真剣に人を愛することを覚え、とるに足らないと感じていた自分がかけがえのない存在に思え、人生に向き合う術を教わった、短いけれど濃密だった日々。物語は母親を拒絶する女子中学生が暴走族の少年と出会い、お互いを思う気持ちをはぐぐむうちに命の大切さを学んでいく姿を描く。喜怒哀楽をうまく言葉にできるほど器用ではない、他人の胸中を忖度するほどの余裕もない。それでもひたむきになれる相手を見つけて彼女は確実に成長し、生まれてきた意味を考えるようになる。その過程がまばゆくも切ない。

母と2人で暮らす和希は友人に春山を紹介される。短気だが男気のある春山に最初は拒否反応を示す和希だったが、彼の優しさに触れしだいに惹かれていく。そんなとき、母が恋人とデートしている現場に出くわしてしまう。

まだ暴走族が珍妙なコスチュームで集団暴走を繰り返していた時代、危険に飛び込む勇気と腕っ節の強さが男の勲章で、両方を備えた春山は時期ヘッド候補に推挙される。しかし、春山は和希の中にある繊細で純粋な部分を守ろうと、安易な行動に走ったりはしない。むしろ和希の一途な思いを受け止められる男になるまで恋愛は封印しているかのよう。映画は決して甘いロマンスに走らず、ストイックなまでに気遣いあうふたりの感情をシンクロさせていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、電電公社のプッシュホンや緑の公衆電話、ロングスカート、暴走族の構成・抗争といった1980年代の空気を再現しているかと思えば、駐車場の入場ゲートは現代のもの。時代考証の中途半端さに加え、ケータイやメールのなかった時代の、簡単に連絡が取れないもどかしさのようなものがもっと表現されていれば、もう少し共感できたのだが。。。

オススメ度 ★★

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