こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸

otello2014-08-29

シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸

監督 永田琴
出演 門脇麦/道端ジェシカ/ディーン・フジオカ/葉山奨之/石田ニコル/坂口健太郎/高谷智子/鶴見辰吾/村上淳
ナンバー 199
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

イヤなこと、つらいこと、悲しいこと、すべてヨガで忘れる。大きく息を吸って静かに吐く、呼吸を整えて体内を浄化すれば、また元の元気な自分に戻れるのだ。物語は上京してきた田舎娘が売れっ子ヨガインストラクターと知り合い成長し、人生のスタートラインに立つまでを描く。 “空気”を読めない彼女に最初は強烈な違和感を覚えたが、やがてそれが彼女の個性と思えるようになる。そんなステレオタイプだが魅力的なヒロインを門脇麦が屈託なく演じ、楽しい気分にさせてくれる。何事にもポジティブシンキング、でもつまづいたときはヨガに頼ればいい。美しくしなやか、かつ優雅なポーズの数々に新鮮な風を感じた。

東京に家出してきたミクはTVのヨガ特集に感化され早速入会、人気インストラクターのKUMIに付きまとう。男に騙されて全財産を盗まれたミクはKUMIのメゾネットに転がり込み、2人の共同生活が始まる。

いまどきあんな女子がいるのかと思えるほどきつい津軽弁とダサいメーク・服装だったミクが、KUMIの指導で洗練されていく過程は「マイ・フェア・レディ」のよう、つい彼女の奮闘を応援したくなる。喜怒哀楽を隠さず思いをそのまま口にするミクは、モデル業界にも身を置くKUMIの周囲にはいないタイプ。競争の激しい世界、普段の打ち合わせや会話でも常に駆け引きがある中でなかなか本心を明かせなかったKUMIも、ミクには胸襟を開いていく。ファッション雑誌のメインモデルの地位を守るため美容と健康に一切手抜きをしないストイックなKUMIの生き方も刺激的だ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

だが、カメラマンに冷たい態度を取ったのをきっかけにKUMIの日常は一気に失速し、彼女は自信を失う。病院で余命わずかな老人と出会ったKUMIが生きる意味を考え直すシーンは、人と人のつながりの大切さと、人間は決してひとりではないことを教えてくれる。“心の声を聴く”という言葉通り、頑張りすぎて疲れた心身をリフレッシュする、見ているだけでヨガを体験できる作品だった。。。

オススメ度 ★★★*

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