こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

チング 永遠の絆

otello2014-09-11

チング 永遠の絆

監督 クァク・キョンテク
出演 ユ・オソン/キム・ウビン/チュ・ジンモ/チョン・ホビン/チャン・ヨンナム/キ・ジュボン
ナンバー 212
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

17年の服役を経てもなお、親友を死なせてしまった後悔は募るばかり。さらに、筋を通したはずのシャバはすっかり様変わりし、もはや過去の遺物のように扱われる。残酷なまでに早い時の流れ、だが運命は更なる試練を男に与える。物語はチンピラを保護した主人公が、その後も彼の面倒を見るうちに、お互いに父子のような感情を抱いていく過程を描く。並行して、不幸な家庭に育ちケンカに明け暮れ生き急ぐ少年たち姿と、経済成長の波に乗って夢を追うヤクザの暗闘をオーバーラップさせ、時代の変化に友情は耐えられるかを問う。裏社会の駆け引きと出世争い、金属バットと鉄パイプを振り回す抗争、男同士の義理と人情、そして衝撃的な秘密と真実。裏切りと欺瞞が渦巻く世界では、同じ修羅場をくぐった者だけが“チング”の絆で結ばれるのだ。

ドンス殺害の刑期を終えたジュンソクは、自分の腹心が現副会長のウンギに排除されたと知り、復讐の機会をうかがって元部下を集める。やがて刑務所でかわいがっていたソンフンも出所、ジュンソクは彼を右腕に実力行使に出る。

あくまでヤクザの体面にこだわるジュンソクと、狡猾に外堀を埋めていくウンギ。かつて親友を失い信じられる人間がいないソンフンも、今では友情よりもカネが人を動かすと思っている。唯一、体を張って縄張りを手に入れた会長はジュンソクに共感している。そんな中、ヤクザとして何を優先させるべきかをジュンソクはソンフンに教えていく。己の利益よりも仲間のために命を張る、信頼関係のみが担保となるギリギリの緊張感が男たちの視線からほとばしる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一方でウンギは、ジュンソクの指示でソンフンの父・ドンスが殺されたとソンフンに告げる。揺らぎ始める忠誠、芽生え始めた不信。ソンフンはジュンソクの命令を破って暴走する。親分子分の契りを交わしたからこその呪縛と苦悩、それでも自らの道を選択しなければならない。生き残るのは哀しみを背負うこと。切なさがスクリーンにみなぎる作品だった。

オススメ度 ★★*

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