こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

至高のエトワール パリ・オペラ座に生きて

otello2014-09-19

至高のエトワール パリ・オペラ座に生きて
AGNES LETESTU L'APOGEE D'UNE ETOILE

監督 マレーネ・イヨネスコ
出演 アニエス・ルテステュ/ジョゼ・マルティネス/ローラン・イレール/ステファン・ビュリヨン
ナンバー 204
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

すらりと伸びた長い手足をしなやかに動かし、まるで重力を無視したように優雅に舞う。首が長く小顔ゆえに実際以上に身長が高く見え、ダイナミックな振り付けがさらに大きく見せる。ステージに輝く一等星、彼女は見る者すべての心を奪い、興奮にいざない、やがて深い感動に導いていく。映画は、パリ・オペラ座のエトワールとして16年間にわたってバレエ界に君臨したダンサーの生きざまを追う。カメラは舞台やレッスンに密着し、何度もインタビューしてその美の秘密を明かそうとする。挫折や絶望を味わった経験もあったはず、だが、彼女はバレエへの情熱や思い出話は口にしても、決して舞台裏の苦労を語らない。エトワールとは、才能だけではたどり着けない、血のにじむような努力をしてもまだ足りない、“何か”が必要。それがなんだったのか、この作品は探究する。

引退公演を間近に控えたアニエス・ルテステュ。「天井桟敷の人々」「白鳥の湖」「放蕩息子」など、過去に主役を張った演目の映像を交え、彼女の相手を務めた男性ダンサー、振付師、オペラ座関係者の証言を集めていく。

年老いたかつての名ダンサーが、誰もが年齢的な衰えから引退の日を迎えるが、そんな自分を受け入れればシンプルな生き方の喜びを発見できる、といった意味のことを言う。若いころのように華麗にはもう踊れない、ハードな練習に肉体が耐えられない。それでもそこから解放されると新たな地平が見えてくるという彼女の言葉は、人は死ぬまでチャレンジし続けなければならないと教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

アニエス自身、オペラ座を退いても衣装デザインはやめるつもりはないし、乞われれば振り付けや指導者の道も考えている。引退は人生の通過点、たとえ華々しく送られてもまだまだ先は長い。これからのアニエスがなすべき仕事は、追い求めた“完璧”に、いかにして彼女が到達したかを、後進たちに伝えることに違いない。

オススメ度 ★★*

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