こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ランナーランナー

otello2014-10-01

ランナーランナー Runner Runner

監督 ブラッド・ファーマン
出演 ジャスティン・ティンバーレイク/ジェマ・アータートン/アンソニー・マッキー/ベン・アフレック
ナンバー 193
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

ネットに接続するだけで、カジノと同じルールでカードゲームを楽しめる。だが儲かるのは胴元ばかり、冷静さを失うと持ち金はすぐに底を尽き、一夜で銀行の預金残高はゼロになる。物語は、オンラインカジノで大損した元ウォール街ディーラーの大学生が、逆にカモを見つけて金儲けに走る姿を追う。サーバーがおかれているのは、米国の法律が通じない、警察権限も及ばない外国、主人公は脅迫されスパイにされ、カネを稼ぐほど逃げ場を失い泥沼に足を取られていく。今や“地道に働く”のは愚か者の生きる道、誰もが他人を出し抜いて一攫千金を狙う。地に堕ちた“アメリカンドリーム”の哀れな末路、カネにしか夢を描けず人生の意味を見いだせない米国の若者たちが哀しい。

カードゲームのサイトで全財産をなくしたリッチーはプログラムの欠陥を発見、運営者のアイヴァンにクレームをつけるためにコスタリカに飛ぶ。その知性と行動力をアイヴァンに認められたリッチーは彼の下で職を得る。

現地ではリアルなカジノを展開するアイヴァン。リッチーは瞬く間に頭角を現し大口の契約をまとめ、汚れ仕事も引き受ける。一方でFBIに弱みを握られアイヴァンを逮捕できるような証拠をつかめと脅される。ギャンブル場の経営である以上、当然非合法な行為にも手をだし、競争相手を蹴落とし、役人を買収し、時として強引な手段を選ばなければならない。ギャングとは一線を画すアイヴァンですら賄賂の増額を要求する官憲をワニの川に突き落とすなど、残虐な制裁を加えたりする。カネは人を変え、堕落させる。この作品にはそんな教訓が込められていた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

リッチーの裏切りを予測していたアイヴァンは、ネット詐欺罪をリッチーになすりつけて逃亡を図る。リッチーは自らの潔白を証明するためにもFBIに協力しなければならず、より深い窮地に陥る。ただ、映画はオンライカジノの仕組みやアイヴァンの組織の運営方法に深く踏み込まず、これらの現象の表層をなぞるのみ。あっと言わせるアイデアのどんでん返しを披露してほしかった。

オススメ度 ★★*

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