こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

太陽の坐る場所

otello2014-10-08

太陽の坐る場所

監督 矢崎仁司
出演 水川あさみ/木村文乃/三浦貴大/森カンナ/古泉葵/吉田まどか/山谷花純
ナンバー 235
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

背の高さと美しさで女王様のように振る舞っていられたあの頃、未来は思い通りになるはずだった。彼女に名前を奪われた少女は、取り戻すために必死で努力した。そして、2人のクラス内力学を巧みに見抜くアウトサイダーは独自のポジションを築く。物語は、卒業して10年経っても当時の人間関係に縛られた彼女たちの孤独と不安を描く。人生の原点だった高校時代、懐かしさよりもほろ苦さ、楽しさよりも息苦しさばかり思い出す。会いたくないやつが来るから欠席する、パッとしない姿を見られたくない、彼女たちは同窓会を開いてもいまだにミエを張ってしまい、素直になれない自分に更なる自己嫌悪を抱いていく。地方局アナという、地元限定有名人という微妙な立ち位置のヒロインの、東京で脚光を浴びる同級生へのコンプレックスがリアルだ。

東京の銀行に勤める謙太はアパレル会社に勤務する由希とともに同窓会の幹事をしている。甲府の局アナ・響子と女優の今日子にも誘いの電話をかけるがOKの返事はない。だが響子が突然同窓会に現れる。

甲府と東京、わずか2時間ほどの距離なのに日常と非日常を隔てる壁は高い。甲府に残った者の世界は狭く、東京に出たものは嫉妬と羨望の入り混じった視線を受ける。そんな、2派に別れる同窓会、高校時代のスクールカーストよりも、今の居場所が優劣を決めているかのよう。その中で、“甲府の女王”であり続ける響子と、東京でイケイケ生活を楽しむ由希の感情のもつれが生々しい。ちょっとした恨みがいつまでも消えず仕返しの機会をずっとうかがっている。同窓会に心からの笑顔で出席できる人はいかに幸せかを実感する。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一方の今日子は女優として一応成功し主演映画も公開される。それを地元テレビで紹介する響子の敗北感。決定的に差がついた響子と今日子の現在、やはり失敗を恐れず東京に出てチャレンジした者だけが勝者になれるのだ。あと、高校時代から由希を追い続ける謙太の歪んだ恋心の行方も気になって仕方がない。。。

オススメ度 ★★★

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