こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

くるみ割り人形

otello2014-10-21

くるみ割り人形

監督 増田セバスチャン
出演 有村架純/松坂桃李/広末涼子/市村正親/藤井隆
ナンバー 224
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

柱時計の中をのぞいたら、そこはオモチャの世界。時を刻む歯車の間をすり抜けた先にある王様の部屋ではネズミの姿をしたお姫様が眠っている。映画は、35年前に製作された人形アニメーション再編集し、極彩色を施した3Dで甦らせる。その深い奥行きを持つ映像は、 “不思議の国”にいる感覚を味あわせてくれる。まだ人形が現代のようなような精巧な作りにできなかった時代、立体絵本風の舞台背景は手作り感にあふれ、人形の表情はバリエーションが少なく手足の動きも滑らかとは言い難いが、ぬくもりのあるタッチには懐かしさを覚える。スクリーンに投影される情報量も多くないので、小学校就学前の子供たちには大ウケけするだろう。

伯父さんにもらったくるみ割り人形をネズミに奪われたクララは、それを追ううちにネズミの女王に呪いをかけられた人形の国にたどり着く。そこでは人形軍の若き指揮官・フランツがネズミたちとの戦争の準備をしていた。

人形軍はぜんまい仕掛けの兵士が主力部隊。最初は攻勢に出てもすぐにぜんまいが巻き戻り動きが止まってしまう。フランツたちはネズミ軍の反撃にあうと総崩れ、瞬く間に撃退される。このあたり“人形的”なカクカクした動きしかできない兵士と、すばしこく立ち回るネズミの対比が鮮やかで、ネズミの知恵と行動力が強調される。一方、フランツに恋をしたクララはネズミの女王を倒す真珠の剣を手に入れ、フランツに渡す。だがフランツもまたネズミの女王に呪いをかけられてしまう。彼こそがくるみ割り人形の正体と知ったクララは、自分の胸の内にある本当の感情に目覚めていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、命がけで姫の呪いを解いたのに、くるみ割り人形となったフランツはあっさり姫に捨てられる。いまやフランツを救えるのはクララだけ、「アナ雪」や「マレフィセント」とは違い、やっぱり“真実の愛”は男女間で交わされるほうがおとぎ話としてはおさまりがいい。。。

オススメ度 ★★*

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