こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

想いのこし

otello2014-11-07

想いのこし

監督 平川雄一
出演 岡田将生/広末涼子/木南晴夏/松井愛莉/鹿賀丈史
ナンバー 245
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

誰にも見えないのに自分だけには見える。声も聞こえるし、実体も感じられる。それは未練を抱えて死んだ人々。物語は4人死亡の交通事故の原因となったのに無傷だった男がこの世をさまよう霊に付きまとわれ、彼女らの“想いのこし”を代行する姿を描く。ラクして生きたい、面倒くさいのも嫌い、でもカネはほしい。そんな主人公が巨額の報酬で願いを叶えていく過程で、“誰かのため、何かのため”に一生懸命になる大切さを説く。世間をナメ切った若者と人生に真正面から向き合っていた死者たちの“生き方”を対比させ、軽薄さの中の孤独が浮き彫りにされていた。

深い人間関係を避けその日暮らしを楽しんでいるガジロウは女とカネに目がない。ある日道路に飛び出したところをはねられるが、よけようとしたクルマに乗っていた3人のポールダンサーとマネージャーが命を落とす。

抜け殻となった肉体を見つめる魂が自身の葬式に出席したり、媒介を通してキスしたり、思いが通じると成仏したりと、手垢のついたパターンが踏襲される。だが、映画はあくまでカネでしか動かないガジロウが、ふてくされた態度を続けながらもいつしかカネよりもすばらしいものに気づいていく変化にスポットを当てる。たとえ死者であっても、やり残したことを完遂するために熱心に頼みごとをする彼女たちとの道程は、ガジロウにとっては初めて他人と心をぶつけ合う新鮮な体験だったのだろう。生き様とは死に様、自堕落な生活に浸っていたガジロウが感謝されることで自信を取り戻し、進むべき方向を見つけていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ウェディングドレスは嫌々着てもポールダンサーの下着姿は本気。ガジロウを演じる岡田将生は化粧をするとその辺の女子より美形なのに、わき毛は生やしたままというぎこちなさが笑いを誘う。何より成長したはずのガジロウがやっぱりナンパはやめないあたりが、教訓めいた流れを断ち切っていて心地よかった。。。

オススメ度 ★★*

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