こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

神さまの言うとおり

otello2014-11-18

神さまの言うとおり

監督 三池崇史
出演 福士蒼汰/山崎紘菜/神木隆之介/優希美青/染谷将太/
ナンバー 268
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

気が付くと血の海で体が固まっている。動いてしまったクラスメートは次々に首を刎ねられ絶命していく。刻限が迫る中、残った2人は協力して背中のボタンを押す。映画は、プロローグからいきなり凄惨な流血ショーとなり、登場人物が置かれた不条理の世界に見る者をいざなう。巨大化したごく普通の家庭にある置物たちが仕切る空間で、高校生たちが命がけで戦ううちに自らの本性に向き合うプロセスは死のイメージであふれ、あらゆる常識や価値観を打ち砕いていく。理由なんかない、原因もわからない、ただ指をくわえてみていては確実に命を落とす。そんな極限状態で、頭をフル回転させ状況を把握し突破口を見つけていく主人公は泥臭く、ヒーローとは程遠い。それでもあきらめずに立ち向かう姿に一条の希望を見いだせる。

教室での「だるまさんがころんだ」をクリアした瞬は、体育館で同じく勝ち残った生徒たちとともに「猫に鈴」に参加させられる。生存者には幼馴染のいちかと凶暴で狡猾な性格の天谷も含まれていた。

力を合わせなければ招き猫には勝てない、だが全員が生き残れるとは限らない。目の前にある殺される恐怖と、背後から迫る裏切りの不安。誰もが疑心暗鬼になっている。そこで試されるのは死を恐れない勇気と仲間を信じる心。いちかを守りたいという瞬の思いが難局を切り抜ける切り札となる。「えんがちょ」に襲われたときに、中学の同級生・翔子よりもいちかを選んだとっさの判断こそ瞬の本心なのだ。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、「かごめかごめ」「正直ゲーム」とステージをクリアしていくが、その過程で瞬は己の中の天谷的な部分に気づいていく。そう、瞬と天谷はまさに表裏一体、誰もが自己犠牲の精神を持ちながら一方で自分だけは助かりたい本音も持つ。白いキューブ上に並んだ2人が人間の真実を象徴していた。ただ、海外に「クールジャパン」を発信したいのなら、シロクマやマトリョーシカではなく、もっと和風のものを登場させてほしかった。。。

オススメ度 ★★★

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