こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ザ・レイド GOKUDO

otello2014-12-02

ザ・レイド GOKUDO THE RAID 2

監督 ギャレス・エバンス
出演 イコ・ウワイス/アリフィン・ブトラ/オカ・アンタラ/ティオ・パクサデウィ/アレックス・アッバド
ナンバー 278
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

拳、肘、膝等の打撃と共に相手に懐に飛び込み、投げ技から関節技をキメる。相手の攻撃には防御しながらの次の一手を繰り出す間合いを常に図っている。攻めながらも守りを固め、守りながらも攻め手を緩めない、攻守の境界線がなく、体のあらゆる部位を駆使した目まぐるしい一連の動きは流麗な舞踏のごときスピード感。それを可能にするのは主人公を演じたイコ・ウワイスの驚異的な身体能力だ。チンピラ同士のケンカをより洗練させた“シラット”の変幻自在の体術はまさしく実戦向きで、トイレや自動車の後部座席といった狭い空間でも応用が利くことに驚かされる。そして、骨のきしみ、関節のねじれなど、登場人物が感じる痛みが客席にまで伝わってくる。

犯罪組織に潜入捜査を命じられたラマは服役中のウチョに近づく。ウチョの父・バンクンは街を仕切るボス、ラマは出所後バンクンの組織に迎え入れられウチョの右腕として働き始めるが、バンクンは日本から進出してきたヤクザに頭が上がらない。

早く組織を継ぎたいウチョにはそんな父がふがいなく見え、敵対組織のボス・ブジョと手を結ぶ。映画はバンクン父子の対立と裏切りを軸に様々な殺し屋が名乗りを上げるが、中でもサングラス女の華麗なハンマーさばきは様式美を思わせるほどの強烈な印象を残す。あと、前作では“マッドドッグ”役でラマと一騎打ちを演じたヤヤン・ルヒアンがホームレスのような風体で登場、別れた妻がすごい美人なのには笑ってしまった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

さらにハードなカーチェイスも加わり、全編息つく間もない疾走感。人間関係が複雑になってしまったせいで展開についていけない場面もあるが、それでも格闘シーンにはやはり血沸き肉躍る興奮が詰め込まれている。ラマだけでなく腕に覚えのある達人たちは、飛び道具を使わず己の肉体のみを頼りに、あくまで“どちらが強いか”の決着をつけようとする。その潔さに今回も圧倒された。

オススメ度 ★★★*

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