こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

チェイス!

otello2014-12-09

チェイス! DHOOM:3

監督 ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
出演 アーミル・カーン/カトリーナ・カイフ/ウダイ・チョープラー
ナンバー 285
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

札束をまき散らし、混乱に乗じてビルの壁面を駆け下りる。またがったバイクを超絶テクニックで操り、追走する刑事のバイクには前輪ウイリーの攻撃。跳ね上げ橋に追い詰められるとトランスフォームさせ、まんまと包囲網を破る。一方で集団によるダイナミックなタップをはじめ、美しい舞姫が見せる激しく艶めかしく優雅で情熱的なダンスが目をくぎ付けにする。スピード&スリルと豪華絢爛な映像、それらスクリーンからほとばしる作り手たちの熱意は最後までテンションを落とすことなく、波状攻撃のごとく視覚聴覚を刺激し続ける。物語は銀行強盗を繰り返すマジシャンと敏腕刑事の攻防を描く。躍動感だけではない、罠を仕掛け、見破った罠を逆に利用する虚々実々の駆け引きには手に汗握る緊張感をはらませる。考えるよりも体感させる、そんな楽しみに満ちた映画だった。

インドサーカスのスター・サーヒムは、借金のせいで自殺した父の仇を討つために銀行を襲う。解決のために呼ばれたジャイとアリーの刑事2人は早速サーヒムを追うが、間一髪逃げられてしまう。

ジャイの放った銃弾は確かにサーヒムをとらえた、だがサーヒムの体には傷跡が残っていない。トリックなのかマジックなのか、理解できないジャイは退散するしかない。ならばジャイもまたサーカスの舞台裏に忍び込みサーヒムの秘密を探ろうとする。そのあたり、アクションは控えめになりご都合主義的なところもあるが、アリーの持つユーモラスな雰囲気が中和させる。また本筋ではないサーヒムのショーも、それだけで独立したパフォーマンスとして鑑賞に耐えうる贅沢な構成で、“お得感”が非常に強い。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがてジャイはサーヒムの弱点を見つけ、足元を崩しにかかる。同時にサーヒムの切り札が自らの意志で動き始め、光と影の関係にひびが入ったりする。そして再び繰り広げられる壮絶なバイク同士のチェイス。リアリティなど二の次でも、“そこまでやるか”と納得させられる、その力技には敬服するしかない。

オススメ度 ★★★

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