こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

マンゴーと赤い車椅子

otello2014-12-10

マンゴーと赤い車椅子

監督 仲倉重郎
出演 秋元才加/NAOTO/石井貴就/榎木孝明/愛華みれ/三田佳子
ナンバー 265
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

後悔しても過去には戻れない、不幸を嘆いても今は変わらない。ならば自分の意志で未来に進むだけ。脊髄損傷で下半身まひの重傷を負ったヒロインは“赤い戦車”を相棒に運命に挑む決心をする。すべてを拒絶してしまう深い絶望、同情される不快感への怒り、そんな中で他人の思いを受け入れ現実に向き合っていく。そして彼女を戦闘モードにした難病青年との恋。世界の不運をひとりで背負い込んだ表情がやがて鋭いまなざしに変化する。物語は車椅子生活を送る娘が障害を乗り越えて強くたくましく人生に対峙するといった語りつくされた内容ながら、家族や友人、病院で知り合った仲間との絆を強調し、重苦しい“お涙頂戴”にならないように配慮する。秋元才加の射抜くような毅然とした視線が映像に力強さを与えている。

リハビリ病院に転院した彩夏は、いまだ立ち直れずで誰とも口を利かない。それでも同室の千尋や理学療法士の菊池と交流するうちに笑顔を取り戻す。ある日、院内で車椅子を暴走させる翔太と出会う。

人を寄せ付けない雰囲気を持つ翔太は、彩夏とすれ違うたびに絡んでくる。優しくはないが、彩夏を“戦友”と見ているのか不器用な励ましの言葉を投げつける。タイムリミットが迫る翔太にとって彩夏は時間に恵まれた存在、この境遇と戦って勝とうとしない態度に腹を立てているのだ。不倫相手に捨てられて自暴自棄になった彼女を間一髪救う姿は、生きることにもっと真剣になれという彼からのメッセージ。篠つく雨の中で感情を爆発させる彩夏は、初めて強烈に生を願う。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

一方で、子供を話題にされて不機嫌になる彩夏。感覚はなくても子宮は傷ついていないなら妊娠・出産できるはず。翔太とベッドに入るシーンがあるが、彼は男性として機能したのだろうか? 半身不随者のセックスライフについてもう少し掘り下げてほしかった。なんといっても彩夏のシンボルカラーである赤は「生」と「愛」の象徴なのだから。。。

オススメ度 ★★*

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