ベイマックス BIG HERO 6
監督 ドン・ホール/クリス・ウィリアムズ
出演
ナンバー 295
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
ピンチの時は助けてくれた。わがままなボクの唯一の理解者だった。そして使い方が分からなかった才能に未来への道筋を示してくれた。そんな兄さんが突然の事故で命を落としてしまった。“愛”をプログラムされたロボットを遺して。物語は天才工学少年が、病気やけが・老いのために弱った人の世話をするロボットを通じて、他人への思いやりや自己犠牲を学んでいく姿を描く。IQは高くてもまだ14歳、クールと思われたいし、正義感も強いし、冒険も大好きだけど、繊細で傷つきやすい一面もある。何よりも狭量な価値観のなかで自分が一番正しいと信じている。ところが兄のロボットは、大きな体で守ってくれるけれど暴力は否定する。その曲線で構成されたボディはあらゆるものを包み込む優しさを象徴していた。
ロボットバトルに熱中するヒロは革新的な装置・マイクロボットを発明。兄・タダシの先生であるキャラハン教授に認められるが、火事ですべてを失う。ある日、タダシの開発したベイマックスが起動、ヒロの心身をスキャンする。
1体だけ残ったマイクロボットに導かれたヒロとベイマックスが向かった先は、焼失したはずのマイクロボット工場。歌舞伎マスクの男に操られたマイクロボットがヒロとベイマックスに襲い掛かる。力持ちだが素早く動けない、人のケアをするコマンドしかもたないベイマックスのキャラクターが微笑ましく和ませてくれる。歌舞伎マスクの思考のままに形を変えるマイクロボットが、エルサが氷雪を自在に形成するシーンを思い出させる。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ヒロはマイクロボットを取り戻すため、ベイマックスに戦闘モードをプログラムする。しかし、戦いに利用されるベイマックスはどこか悲しそう。なぜならベイマックスには、タダシの心がプログラムされているから。死は終わりではない、人間もロボットもメモリーの中で亡くなった人を生かし続けているとこの作品は主張する。ただ、後半は原作通り戦隊ヒーローものに転調し、前半の兄弟愛に無理やりつなげた違和感が拭いきれなかった。
オススメ度 ★★*