こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

真夜中の五分前

otello2015-01-07

真夜中の五分前

監督 行定勲
出演 三浦春馬/リウ・シーシー/チャン・シャオチュアン
ナンバー 301
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

恋人の死といまだ正面から向き合えず殻にこもっている男。一卵性双生児として生まれたゆえに自己を確立できない女。ふたりとも何かが欠けているのには気づいているが、正体はわからない。そんな男女の恋は、お互いに求めすぎることを恐れるあまり、相手に深く立ち入ろうとはせず、己の周囲にも防御線を張っている。物語は、美人フリーライターと出会った孤独な時計職人が、彼女の双子姉妹とその婚約者を交えた“愛の迷宮”で彷徨し苦悩する姿を描く。デートしたのは姉なのか妹なのか、彼女たちはなぜ混乱させるような言動を取るのか。双子は記憶や思考も共有できるのか。ミステリアスな装いのしっとりとした映像は、人間の心に潜むささやかなエゴを照らし出す。

室内プールでルオランに声をかけられ、プレゼントの買い物に付き合った良は、後日双子姉妹のルーメイを紹介される。売れっ子モデルのルーメイは映画プロデューサーのティエンルンと婚約していた。

明るく社交的なルーメイとは対照的に、ルオランは感情より理性が先行するタイプ。ルーメイと違って、美しさを自覚しながらも積極的に利用しようとはしない。むしろルーメイに自分の人生を奪われたという被害者意識すら持っている。良は不器用な生き方しかできないルオランに共感を覚え、彼女を愛し始める。ただ、時に男たちのカン違いを訂正しないルオランとルーメイ、そこに悪気はないが、いい年してそれを楽しんでいるような底意地の悪さが非常に不快だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて姉妹は旅行先で事故に遭い、ルオランが死亡、ルーメイはその後女優として開眼する。ところが良もティエンルンもルーメイはルオランではないかと疑い、彼女も思わせぶりな態度をとるなど、ただでさえのろいテンポにまどろっこしさばかりが募っていく。あえて曖昧にして観客に判断を委ねようとする意図は理解できるが、そこまでの余韻を残すほどの作品ではなかった。

オススメ度 ★★

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