こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

シン・シティ 復讐の女神

otello2015-01-14

シン・シティ 復讐の女神 SIN CITY: A DAME TO KILL FOR

監督 ロバート・ロドリゲス/フランク・ミラー
出演 エヴァ・グリーン/ジェシカ・アルバ/ミッキー・ローク/ジョシュ・ブローリン/ジョゼフ・ゴードン=レヴィット/
ナンバー 9
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

嘘をついているのは気づいている、罠が待ち受けているのも知っている。それでも甘美な肉体の誘惑には抗えず、男は女の意のままに操られていく。その先にあるのは破滅とわかっていても。。。強烈な光と影のコントラストが時折ヴィヴィッドな原色に彩られるノワールな映像は、犯罪と悪徳がはびこる夜の喧騒と退廃を代弁する。ここでは孤独な者ほど正義感が強く、絶望した者ほど憎しみを胸に秘めている。物語は、そんな薄汚れた町で怒りの炎を燃え上がらせる3人の男と1人の女の復讐を描く。権力者には逆らえない、身の程知らずは痛い目に合う、純粋な思いは踏みにじられる。“本当の地獄は愛する人の苦悩をみること”という言葉に、作品の世界観が凝縮されていた。

一匹狼のマーヴはホームレス狩りをする若者をぶちのめす。流れ者のギャンブラー・ジョニーは町のボス・ロアーク上院議員にカードゲームで大勝する。探偵のドワイトは元恋人のエヴァから夫の調査を頼まれる。

それぞれがインパクトのあるキャラクターを持ちサバイバル本能を駆使して必死で戦っている。中でも妖艶な姿態でドワイトを弄ぶエヴァファム・ファタールぶりが圧巻。メリハリの利いたボディは熟れた果実のように芳香を放ち、おびき寄せた男たちに毒をふりまく。また、天才的勝負勘を持つジョニーは傲慢ゆえにロアークに制裁を受けシーンは、無法地帯だからこそ“ナメられたら終わり”なのではなく謙虚さが必要であると訴える。全編スタイリッシュな絵作りはこの続編でもさらにパワーアップし、客席からスクリーンを見上げるのではなく、一歩踏み込んだ地点から原作コミックのエピソードを体験する感覚を味わえる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、覚悟を決めたダンサーのナンシーは、自らの顔を切り刻み敵討に臨む。そしてクライマックス、ある種の様式美を湛えた銃弾とナイフ・拳と飛び道具が織りなす死と暴力のシンフォニーが、ためらいも後悔もなく生き残るためだけに奏でられる。ただ、もう少し映画としての統一感が欲しかったが。。。

オススメ度 ★★*

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