こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ナイト ミュージアム エジプト王の秘密

otello2015-01-21

ナイト ミュージアム エジプト王の秘密
Night at the Museum: Secret of the Tomb

監督 ショーン・レビ
出演 ベン・スティラー/ロビン・ウィリアムズ/オーウェン・ウィルソン/ダン・スティーブンス/ベン・キングスレー
ナンバー 15
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

黄金色の石板から魔力が薄れていく。リーダー格の大統領は意味不明の言葉を口走り、天空を彩る星座たちは地に堕ち、剥製も蝋人形も我を忘れて暴走する。物語はNYの博物館警備員が“夜の仲間”を守るためにはるばるロンドンに渡り、石板の謎を解き明かす姿を描く。そこは自然の営みと人間の歴史のみならず、古代から現代までのアートも含めた世界最大の博物館。立体的なオブジェが動き出すだけでない。だまし絵の奥行きにまで足を踏みいれ、四次元空間に迷い込んだような目くるめく重力体験を味あわせてくれる。人の気配が消えた深夜に繰り広げられる祝祭という1作目の夢に満ちた驚きはなくなったものの、その分視覚的な効果が格段に進化し、新たな冒険にいざなってくれる。

プラネタリウムの開業パーティで失態を演じたラリーは、石板の秘密を聞き出すために元の持ち主のエジプト王が収蔵されている大英博物館を訪れる。ホールで恐竜の骨格標本に襲われるが、伝説の騎士・ランスロットに救われる。

ラリーは進路に悩む息子のニッキーを同伴するが、今や“ナイトミュージアム”で共に戦ったニッキ―も親離れの年齢。一方で、自分の意志で未来を切り開く大切さをラリーに教えたテディは、人生の先輩らしい輝きを失いかけている。生き方の指針を示すべきわが子は成長し、父のように導いてくれたテディは老いた。ラリーのとってこの旅は、楽しかった“第二の少年時代”からの卒業試験。ラリーとそっくりな原始人の登場が、これが最後になる予感をはらませる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、石板を“聖杯”と誤解したランスロットは、それを強奪して逃げる。だが数々の武勲も永遠の愛を捧げた王妃もみな虚構と告げられた上、所詮は蝋人形に過ぎないことを思い知らされる。世間とうまく折り合いをつけられなかったラリーにとって、空想が膨らむ夜こそが生きている実感を得られる時間。朝日が昇るころ元に戻る展示物がそんなラリーの現実を象徴していた。。。

オススメ度 ★★★

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