スパイ・レジェンド THE NOVEMBER MAN
監督 ロジャー・ドナルドソン
出演 ピアース・ブロスナン/ ルーク・ブレイシー/オルガ・キュリレンコ/ビル・スミトロビッチ/ラザル・リストフスキー
ナンバー 19
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています
裏切りと嘘。陰謀と偽装。誰もが秘密を抱え、信じられるのは自分だけ。そんな諜報の世界に戻ってきた伝説のスパイは、2つの組織から追われている一人の女を守ろうとする。味方の中に敵がいる、敵がいつしか味方になる。国際秩序を覆しかねない巨大な謀略の陰で繰り広げられる虚々実々の駆け引きがスリリングだ。物語はロシア大統領候補のスキャンダルを知る女を巡って、主人公とCIAとロシア人組織の三つ巴の戦いを描く。複雑に入り組んだ設定と謎が謎を呼ぶ展開はミステリアス、相手の考えを先読みし言葉で挑発し罠を仕掛ける心理戦はサスペンスに富み、ドローンからの映像は新たな視点をもたらす。ピアース・ブロスナンが20世紀的なスパイになりきっている。
ロシア中枢部に潜り込んだ元恋人の救出に向かったピーターは、ミラという女が重大な情報を握っていると告げられる。CIAのかつての部下・メイソンとロシアの女殺し屋も同時にミラの行方を探していた。
ミラにつながる唯一の関係者・アリスは、女殺し屋に狙われたところをピーターに救われ、行動を共にする。その過程でCIAの追手を雑踏でまき、古典的な方法で排除していくピーター。石畳で整備された欧州の古い町並みでのマンハントは派手さよりも緊迫感が重視され、図らずも巻き込まれたアリスの感覚を再現する。予想外の出来事への戸惑いと不安がリアルだった。加えて、立場の違うスパイたちの動きから事件全体を俯瞰する構成は、ピーターの立ち位置をわかりやすくしている。
◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆
ただ、「ボーン」や「ニュー007」の後では、この映画のアクションはいかにも古臭い。ピーターとメイソンの格闘はアイデアに乏しく、ピーターとロシア人との撃ちあいも工夫がない。柔軟な女殺し屋も斬新な暗殺術を見せてくれるのかと思いきや、肩透かしの一撃で沈没。さらにアリスがクレジットカードでパソコンを使ったりする。そのあたりのディテールをもっと少し詰めてほしかった。。。
オススメ度 ★★*