こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ

otello2015-02-16

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ FIFTY SHADES OF GREY

監督 サム・テイラー=ジョンソン
出演 ジェイミー・ドーナン/ダコタ・ジョンソン/ジェニファー・イーリー/ルーク・グライムス/マーシャ・ゲイ・ハーデン
ナンバー 36
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

恋なのか好奇心なのか、堅物だった女子大生はたちまち心を奪われる。相手は若くして巨万の富を築き上げたイケメン経営者、住む世界の違いに最初は目を回しながらも、強引で自信たっぷりな彼の言いなりになることに次第に心地よさを覚えていく。物語は野暮ったさの残るヒロインが、絵に描いたようなヤンエグに肉体も精神も委ねる過程を追う。だが、男は優しくしてくれても愛してはくれない、性交はしても本心はのぞかせない。ただ、褒美と罰を与えるだけ。服従し鞭打たれる陶酔の中で彼女は快楽を見出していく。いくら理性が拒否しても感情が反応し、いつしか体も順応してしまう、そんな、大人の女への窯変が艶めかしい。

学生新聞の取材で通信会社CEO・クリスと出会ったアナは、執拗なアプローチに根負けして食事の誘いに応じる。戸惑いつつもうれしさをかみしめていると、ふたりの交際に関する細かいルールを定めた契約書を手渡される。

酔いつぶれたアナに手を出さず、デートの移動にヘリコプターを使うクリス。経験のない洗練された作法に、アナの胸中は千々に乱される。そして彼との契約の後に、様々な拘束具と鞭が備わった秘密の部屋に通される。そこは“メイクラブ”ではなく“ファック”するために作られたところ。処女だったアナは痛みと羞恥心に腰をくねらせながらもクリスの為すがままになる愉悦に浸る。ひたすら受け身になって思考を放棄する至福の解放感、羽化する蝶のごとくアナはドレスが似合う女になっていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ところが、他人を愛さないはずのクリスも、湧き上がる思いを否定できなくなってくる.。それでも恋愛とは認めない。そのあたり、支配と隷属の関係の中でエクスタシーに達するにはクリスは若すぎたのだろう。女の視点で描いた米国版の「私の奴隷になりなさい」、20代のクリスとアナに成熟したセックスはまだ早い。女心の機微も大富豪の考えもよくわからないが、もっと情熱のおもむくままに求め合えと言いたくなった。

オススメ度 ★★*

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