こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

サムライフ

otello2015-03-10

サムライフ

監督 森谷雄
出演 三浦貴大/松岡茉優/加治将樹/柾木玲弥/山本涼介
ナンバー 56
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

「夢は夜な夜な見るものではなく実現するもの」。貯金もなくコネもない状態で走り始めた青年は、持ち前のポジティブ思考で未来を切り開き、たとえ回り道に見えても一歩ずつ前に進んでいく。愚直なまでにまっすぐな彼の周りには、やがて理解者が集まり、ひとりではできないことも可能にしていく。物語は学校に居場所のない子供たちのための自立支援学校を創設しようとする若者たちの奮闘を描く。本当はとてもつらいのに弱い母親を庇って気丈に振る舞う小学生の女の子から、自傷癖のある引きこもり女子高生まで、安心して学び遊び人間関係を築ける学校を作りたい。主人公は傷ついた心を抱えた彼らに向き合いながらも、学校設立のために奔走する。映画はその過程で、“仕事”とは何かを問うていく。二十歳そこそこの販売担当者が何度も頭を下げて書店回りをする姿は、誠意を伝える大切さを教えてくれる。

高校教師の職を辞し、自ら理想の学校づくりを目指すナガオカは、資金集めのためにショットバーをオープンする。教え子のケンジの提案で自伝を出版するとタカシ、ユリ、ダイスケらも販売を手伝うようになる。

セールスプロモーションを兼ねた講演会は大盛況、タカシたちの頑張りで自伝も完売する。一方で気にかけていた女の子の家庭が再び荒れたり、女子高生がSOSを発信したりと順風満帆というわけにはいかない。自分の力のなさ至らなさを噛みしめ葛藤する様子は、ナガオカも普通の人間であると身近に感じさせる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ただ、営業に疲れたダイスケが投げ出すとナガオカまでやる気をなくしたのはなぜだろう。また、高校在職中に十分な資金を貯めてなかったり、水商売や自伝で稼ごうとしたりと、「カネ」や「モチベーション」に対する方向性がイマイチよくわからない。強い信念が“奇跡”を呼ぶと言いたいのはわかるが、もう少しリアリティが欲しかった。まあ、この作品が対象とする中高生はそんなツッコミを入れないとは思うが。。。

オススメ度 ★★*

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