こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ピッチ・パーフェクト

otello2015-03-20

ピッチ・パーフェクト Pitch Perfect

監督 ジェイソン・ムーア
出演 アナ・ケンドリック/スカイラー・アスティン/レベル・ウィルソン/アンナ・キャンプ/ブリタニー・スノウ
ナンバー 64
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

無伴奏で歌うだけではない。本来楽器を使って演奏されるメロディやリズムもすべて人間の肉体から発する音で表現し、バンドを従えたコーラスのような歌声を響かせる。さらに統率のとれたダンスとコスチュームで視覚的にも楽しませる。その洗練されたパフォーマンスはもはやエンタテインメントの域にまで昇華され、見る者の目を惹きつけて離さない。物語は傷心のまま進学した女子大生がアカペラと出会い、様々な体験の中で人生と向き合う勇気を取り戻す過程を追う。個性的な若者たちが団結して全米大会優勝を目指して努力する定番の設定ながら、アカペラという歌唱の奥深さとすばらしさが門外漢にもわかるように丁寧に描写されていた。

父の勧めで意に染まぬ大学に入学したベッカは、美声を見込まれて全国大会出場歴もある名門アカペラサークル・ベラーズに勧誘される。リーダーのオーブリーの指導の下、厳しい練習が始まる。

ベッカはDJの夢があきらめられず、自分で編曲したりもするがイマイチ。一方でオーブリーが選んだ古臭い曲に息苦しさを感じている。元々人付き合いの苦手なベッカはどちらとも距離を置いている。そんなベッカも、彼女に好意を寄せるジェシーのおかげで、ひとりでいるより仲間と協力する方が相乗効果を発揮できると知る。時には頭を下げる必要もある、そして本心をさらけ出して訴えればきっと思いは伝わる。団体スポーツ以上にチームワークが重要なアカペラが、ベッカの心を開き成長させていく。セクシー系金髪美女のオーブリーが、禁欲的なまでにアカペラにうちこむ姿が新鮮だった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ベラーズは地区予選を勝ち上がるが、ベッカのスタンドプレーのせいで州予選敗退、厳格すぎるオーブリーへのメンバーの不満も爆発してチームは解体する。その後やってきた再起のチャンス。そこでベッカもオーブリーも“相手の気持ちを忖度する”ことを学び、支え合い信じ合う大切さを実感していくのだ。改めて、“音楽の力”を思い知らされた。

オススメ度 ★★★*

↓公式サイト↓