こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救WOO!

otello2015-03-27

スポンジ・ボブ 海のみんなが世界を救WOO!
THE SPONGEBOB MOVIE: SPONGE OUT OF WATER

監督 ポール・ティビット
出演 アントニオ・バンデラス
ナンバー 67
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

黄色の四角い顔に大きな目玉、厨房で働くのが楽しくてたまらない。何よりも大好きなのは、このお店が提供する絶品のバーガーを作って街のみんなに食べてもらうこと。物語はそんな主人公が盗まれたレシピを取り戻そうとする姿を描く。それはまだ誰も経験のない冒険の旅、その過程で彼はチームワークの大切さを説き、敵対関係にある者とも一時的に協力する。前半、海底都市で繰り広げられる海棲生物たちのドタバタ劇は緻密で繊細な日本製アニメを見慣れた身には古臭さすら感じる。だが地上に舞台を移した後半は一転、実写とCGアニメの合成で見せるアクションは手に汗握るスピード感に満ちている。幼児向けの内容ゆえ、理屈やつじつまの合わない世界観に身を浸せば童心に帰れるはずだ。

バーガー店の従業員・ボブは、ライバル店のプランクトンと秘密のレシピを奪い合っていたが、突如レシピが消える。レシピ泥棒の汚名を雪ぐためにボブはバーガーの香りをたどってビーチに上陸する。

アントニオ・バンデラス扮するひげの海賊が“お宝”を手に入れるプロローグ、ジャック・スパロウインディ・ジョーンズを足したようなキャラクターが強烈だ。彼は海底都市の運命を記述した魔法の書の結末を書き換えた上、カーニのレシピを元にバーガー店を始めるが、その際に海賊船をキッチントラックに改装する。いかにもカジュアルな開店の方法が、子供のころから起業精神を叩き込まれている米国人の考え方を象徴していた。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ボブはプランクトンの他にも仲間を率いて海賊の店に向かうが、強力な武器に撃退される。それでも自らをスーパーヒーローに進化させ、海賊を追い詰めていく。そこでも様々な場面で登場人物が突然寄り道したり心変わりしたりする。なぜなのかは一切説明はない、ただレシピを奪還という本来の目的よりも目を輝かせているのは確か。気まぐれな気持ちに寄り添ったキャラクターの行動に、自由だった子供時代への郷愁がよみがえる作品だった。

オススメ度 ★★*

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