こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

寄生獣 完結編

otello2015-04-29

寄生獣 完結編

監督 山崎貴
出演 染谷将太/深津絵里/阿部サダヲ/橋本愛/新井浩文/大森南朋/北村一輝/國村隼/浅野忠信
ナンバー 98
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

密かに、そして確実に個体数を増し、社会に根を張っていく寄生生物。そのうちの1体と運命共同体となった主人公は、母の仇を取るべく悪意の寄生生物を狩っていく。警察に助けは求められない、普通の人々を巻き込むわけにもいかない。中立的な寄生生物との協定を得て、戦い続けるしかない。物語は右手を乗っ取った寄生生物に命を救われ心身を増強された高校生が、敵対する最強の寄生生物と最終決着をつけるまでを描く。前作で提示された、“環境に悪影響を及ぼす人間の不要論”は陰を潜め、逆に感情が宿り共存を図ろうとする個体が現れるなど、相対的に人間の価値は上がっている。守るべきもののための自己犠牲、寄生生物にはない“愛”こそが人間を崇高な存在たらしめているのだ。

人間と共生しようとする田宮派と、人間を支配下に置こうとする後藤派の緊張状態が続く寄生生物界。後藤派が新一とカメラマンの娘を襲ったため保たれていたバランスが崩れ一方、警察の特殊部隊が寄生生物一掃作戦を開始する。

その間、田宮は出産した自分の子供を育てるうちに“笑い”を経験する。本能と理性しかない寄生生物として生きるよりも、愛する者を育てる喜びを知り、彼女もまた成長する。だが、愛ゆえに強くなれるが、愛は弱点にもなる。赤ちゃんの代わりに銃弾を浴びる田宮は、心とは何か理解したはず。同時に、脳の深い部分に眠る人間だったころの記憶も少しは取り戻したに違いない。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて特殊部隊を殲滅した後藤は新一とミギーの後を追う。圧倒的な戦闘能力を持つ後藤に新一たちは歯が立たず、ミギーの機転で新一は難を逃れる。ただ、後藤が暴走し始めるあたりからアクションはより大がかりになるが、そのシチュエーションは既視感のある物ばかり。せっかくミギーの造形やキャラクター、寄生生物が顔を凶器に変えて人を殺すなどユニークなシーンも多かったのに、クライマックスがハリウッド映画の焼き直しになってしまったのは残念だった。

オススメ度 ★★

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