こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ラスト5イヤーズ

otello2015-05-04

ラスト5イヤーズ THE LAST 5 YEARS

監督 リチャード・ラグラヴェネーズ
出演 アナ・ケンドリック/ジェレミー・ジョーダン/ナタリー・ネップ/タマラ・ミンツ
ナンバー 104
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

夢は叶わず、結婚生活にも破れ、美しかったあの頃はもう戻ってこないと嘆く売れない女優。学生時代にチャンスをつかみ、愛する人とともに未来へ進もうとする作家。出会ったときはお互いが運命の人だと直感した。別れた後では必然と納得した。映画はNYで一旗揚げようとする20代カップルの5年間の軌跡を追う。女優の視点から見た物語は、現在から過去へとエモーショナルにさかのぼることで男の身勝手さを糾弾する。作家は時間軸に沿ってエピソードを積み重ね、女心の扱いづらさを伝えようとする。複雑に交錯するふたりの思いを訴える歌の数々、それは、屈辱と成功、挫折と希望、不信と愛という、相反する感情だ。辛い記憶を懐かしい思い出に熟成させるにはまだ早すぎる、本当の人生はこれから始まるとふたりに教えたやりたくなった。

ジェイミーに去られたキャシーは悲しみに暮れながらもすれ違いの日々を思い出す。オーディションを受け続けるが活躍の場は与えられないまま、年ごとに有名になっていくジェイミーの“お飾りの妻”の座が我慢ならない。

一方、習作が認められて出版されたジェイミーは一躍文壇の寵児となり、以後もベストセラーを連発させる。その過程は、努力はしているのに報われないキャシーと対照的。キャシーはもう若くないと気づかされて焦り苛立ち、理解しようとしないジェイミーの態度が鼻につく。刺激し合うような対等な立場でいたいのに、圧倒的な差がついてしまった。にもかかわらず己の生き方を変えられないキャシーのプライドが痛々しかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

ジェイミーも彼なりにキャシーを励ましている。だが、彼の言葉の端々にキャシーは“上から目線”を感じ、素直に受け取れない。やがてそんなキャシーにジェイミーは耐えられなくなる。才能の点からも、キャシーが一歩引いてジェイミーを支える役割を受け入れれば、ふたりに破局は訪れなかったはず。ジェイミーに非がないとは言わないが、やはりキャシーの強すぎる自我には共感できなかった。。。

オススメ度 ★★*

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