こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

トゥモローランド

otello2015-06-10

トゥモローランド TOMORROWLAND

監督 ブラッド・バード
出演 ジョージ・クルーニー/ ヒュー・ローリー/ブリット・ロバートソン/ラフィー・キャシディ/トーマス・ロビンソン
ナンバー 134
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

T文字をあしらったピンバッジは夢の国への通行証。高度に発達したテクノロジー、モニュメントのように空に伸びる建物、交通機関も立体化され、人々の表情は生気に満ちている。そこに行く資格があるのは、自分の運命を切り拓く進取の精神と決してあきらめない気概を持つ者のみ。物語は、そんな別世界に招待されたヒロインが、課された途方もない使命を全うしようと奮闘する姿を追う。温暖化、紛争、食糧不足、現在の地球が抱える深刻な諸問題は、すべてはネガティブなメッセージを刷り込まれた人間が不幸な未来を自らの手で引き寄せた結果という主張が、強烈なマスコミ批判として機能している。メディアが危機を煽り、大衆がそれを信じれば本当に起きてしまう危険性、幸せは明るい予想図を描かなければ訪れないとこの作品は訴える。

1964年、飛行装置を発明したフランクはミステリアスな少女・アテナからもらったピンバッジの力で、ファンタジックな未来都市に迷いこむ。50年後、荷物に紛れたピンバッジに触れたケイシーも未来都市のビジョンを見る。

ビジョンに憑りつかれたケイシーはバッジの謎を解こうとするが、怪しい男女に奪われそうになり、間一髪アテナに助けられる。さらに黒服軍団の追跡をかわしながら、アテナは隠遁生活を送るフランクの元にケイシーを導く。そこで、もうすぐ地球は滅亡すると悲観するフランクはケイシーのポジティブさにわずかな希望を見出す。彼女こそ地球を救える唯一の人間、フランクはケイシーを道連れに想像を絶する冒険の旅に出る。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、19世紀の天才たちが夢想したトゥモローランドに彼らはたどりつく。もはやどこまでが現実かわからないなか、フランクとアテナの間に芽生えた“思い”だけは真実。その皮肉が叶わぬ愛の切なさを訴えていた。ただ、登場する人間型AIロボットは善玉悪玉共にオリジナリティに乏しく、トゥモローランドのヴィジュアルも斬新さに欠ける。それは50年前のデザインとの設定だからなのかもしれないが。。。

オススメ度 ★★*

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