こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ターミネーター:新起動/ジェニシス

otello2015-06-26

ターミネーター:新起動/ジェニシス Terminator Genisys

監督 アラン・テイラー
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー/ジェイソン・クラーク/エミリア・クラーク/ジェイ・コートニー/マット・スミス/イ・ビョンホン/J・K・シモンズ
ナンバー
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

現在を守るために過去に戻ったら、そこは並行する時間軸だった。起こるべきことが起こらず救うべき女に助けられる、聞かされていたのとは全く違う状況。主人公は自らの力で運命を切り開いていくしかない。物語の起点は同じ、キャラクターもほぼ同じ、だが繰り広げられる壮絶なバトルは前シリーズをはるかに凌駕するパワーとスピード、視覚・音響効果で五感を圧倒する。映画は、コンピューターネットワークが送り出した殺人マシンと人間側の戦いを描く。表面を覆う生体細胞は老化する理屈から若年・中年2体のターミネーターが激突する導入部から、液体金属型の襲撃、さらに人間と機械のハイブリッド型まで登場させ、最先端のIT事情も取り入れた映像は、旧作の名場面・名セリフに敬意を払いつつも、驚きと躍動感に満ち溢れていた。

スカイネットが放ったT-800型ターミネーターを追って1984年に転送されたカイルは、T-1000型に遭遇する。救出に現れたのは、「サラを守れ」とプログラムされた別のT-800型“守護神”に育てられたサラだった。

若いT-800と、T-1000を倒した“守護神”、サラ、カイルは新たな「審判の日」が万能OS・ジェニシスの起動日であると察知し、阻止するために2017年に飛ぶ。彼らを待ち受けていたのはサラの息子・ジョン。親子3人が初めて一堂に会したのに、カイルだけが関係を知らなかったという設定が笑えた。ところがジョンはもはや人類の救世主ではなくスカイネットと結合した別人、カイルたちはジョンを敵と認識し“守護神”と闘わせる。大きな性能差の中でも決してひるまない“守護神”は感情を有しているかのよう、その姿は生きる勇気とは何かを教えてくれる。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

情報端末に依存した人々のあらゆるデータが蓄積されたサイバー空間を、自我に目覚めた人工知能が“悪用”したらどうなるか。1980年代にはSFだったのが2015年ではリアルな悪夢として問題点を突き付けてくる。期せずしてアップグレードした“守護神”の、今後の活躍が楽しみだ。。。

オススメ度 ★★★*

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