こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

キングスマン

otello2015-07-01

キングスマン Kingsman: The Secret Service

監督 マシュー・ボーン
出演 コリン・ファース/サミュエル・L・ジャクソン/マーク・ストロング/タロン・エガートン/マイケル・ケイン
ナンバー 144
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

サヴィル・ロウ仕立てのスーツをまとい、しなやかな体術で敵を瞬殺する。傘、靴、ライター、指輪といった小道具も殺傷力抜群だが、どこか懐かしさを感じさせる。主人公はスパイである前にマナーとエスプリを身に付けた紳士、それは今や過激な連続活劇に走ってしまった007シリーズへの強烈なアンチテーゼだ。リアルな殺人マシーンよりも喜怒哀楽に富んだキャラクターのほうがより魅力的だという。映画は、ロンドンに本拠を置く政府から独立した諜報機関にスカウトされた新人工作員の活躍を描く。師匠と弟子、厳しい訓練で培った友情とチームワーク、奉仕と自己犠牲の精神、命がけで戦う意義。それら若者の成長に欠かせない要素をちりばめつつ、世界征服を企む悪党と決着をつけようとする設定は定番ながら、流麗なカメラワークから生まれる斬新な映像が物語に瑞々しい息吹を吹き込んでいる。

貧困地区でくすぶっていたエグシーは、秘密組織・キングスマンのメンバー・ハリーに連絡する。エグジーは、かつてハリーを庇って死んだ工作員の息子、彼の素質を見込んだハリーは、エグジーを養成所に入隊させる。

ワルツを踊るような優雅な動きで敵戦闘員を倒すキングスマンのスパイに対し、義足に仕込んだ剣であらゆるものをぶった斬る女殺し屋。ただ相手を血祭りに上げるだけではない、彼らはあくまでも己の流儀にこだわり殺しの美学を貫こうとする。特に教会でのバトルロイヤルは乱舞格闘する者たちの息遣いと飛び散る血しぶきが様式美にまで昇華され、壮大な暴力のページェントが展開する。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて、無料スマホで人間の思考を狂わせ殺し合いをさせようとするIT企業家・ヴァレンタインの陰謀に気づいたハリーとエグジーは、阻止するための作戦行動に出る。待ち受ける裏切りと罠に仲間を失いながらも、エグジーは山中深いヴァレンタインのアジトに潜入。そこで繰り広げられる脳漿の花火大会は、アクションとユーモアを備えた英国発祥のスパイ映画への原点回帰を“威風堂々”と宣言していた。

オススメ度 ★★★*

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