こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

かけがえのない人

otello2015-07-11

かけがえのない人 THE BEST OF ME

監督 マイケル・ホフマン
出演 ミシェル・モナハン/ジェームズ・マースデン/リアナ・リベラト/ルーク・ブレイシー/ジェラルド・マクレイニー
ナンバー 159
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

環境の違いも立ちはだかる障害も、乗り越えて成就させるのが運命だと信じていた。ところが不幸な事件に巻き込まれ、悲しい別れをしたままいつしか疎遠になってしまった。それでも一日たりとも忘れはしない、生涯で一番輝いていた日々。映画は21年ぶりに再会した元恋人同士が自分の本当の気持ちに正直になっていく過程を描く。叶わなかった願い、伝えられなかった思い、封印していた記憶がよみがえるたびに、あの頃いかに愛し合っていたかを確かめていくふたり。あきらめていたことが急に現実になった時の戸惑いと拒絶、そしてわだかまりが徐々に氷解していくうちに、身の上に起きたあらゆる出来事は何らかの意味があったと思えるようになっていく。愛する人が別の場所にいても、同じ時間・同じ星空を見上げているかもしれないというイメージが心を豊かにしてくれる。

油田事故で海上櫓から落水しこん睡状態になったドーソンの脳裏に、高校時代の恋人・アマンダの姿が浮かぶ。退院後、恩人・タックの訃報が入り故郷に戻ると、知らせを受けたアマンダも帰ってくる。

ふたりとも、顔を合わせるのを少しは期待していたはず。いまだ独身のドーソンはともかく、夫婦間は冷めていても優秀な息子とは良好な関係のアマンダは家庭を捨てるほどの勇気はなくきつく自制している。にもかかわらずタックの遺品を整理していくうちに懐かしい思い出に浸り始めると、心理的な壁が崩れていく。人里離れた別荘にふたりきり、アマンダとドーソンは失われた時を取り戻す。その間、このまま流れに身を任すべきか分別を持つべきか、選択を迫られた彼らの微妙で繊細な感情がリアルに再現されていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

だが、かつてふたりを引き裂いた“過去”が再びドーソンの人生を狂わせる。給水塔の上で語り合った将来の夢、アマンダとドーソンの間には子供はできなかったが、ふたりの命を受け継いだ子が新たな未来に歩き出す。そんな希望が、結ばれなかった愛の物語に救いをもたらしていた。。。

オススメ度 ★★★*

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