こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

踊るアイラブユー♪

otello2015-07-14

踊るアイラブユー♪ Walking on Sunshine

監督 マックス・ギワ/ダニア・パスクィーニ
出演 ハンナ・アータートン/アナベル・スコーリー/ジュリオ・ベルーチ/グレッグ・ワイズ/ケイティ・ブランド
ナンバー 162
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

重大な秘密を抱えた私はいったいどうしたらいいの? 自分の思いに正直になるのはいけないことなの? 映画はそんなヒロインの喜怒哀楽と苦悩や不安、夢と愛を、1980年代の懐かしいポップスに代弁させ、華やいだ踊りで高揚感を表現する。それはまさしくミュージカルの醍醐味、ノリノリの映像で映画館の観客席を盛り上げてくれる、はずだった。ところが俳優の口の動きとサウンドが微妙にずれ、キレのない群衆ダンスはアマチュアのフラッシュモブを見ているよう。心に響く歌声と目を見張るようなダンスがあってこそのミュージカルだと思うのだが、この作品はそういった“洗練”とは一線を画し、お祭り騒ぎに徹してむしろ差別化を図っている。

リゾート地で地元青年・ラフとのアヴァンチュールを楽しんだ英国人女学生・テイラーは、3年後姉・マディの結婚式で再び当地を訪れる。だが、マディの婚約者がラフと知り、テイラーの気持ちは揺れる。

恋より学業を優先させたテイラーは、ラフと言葉を交わすうちに彼への未練に火がつく。ラフもまた、ポジティブなマディに惹かれはしたが本当に好きなのはテイラーではないのかと自問する。お互いに意識しながらもぎこちなく距離を取るふたりは、とうとうトマト祭りで感情を爆発させる。一方でマディの前に元カレが現れしつこく付きまとう。このあたり、設定があまりにも突飛な上、ユーモアや皮肉にも乏しい。かといってコメディと呼ぶほど脚本が練り込まれてもいない。石造りの古い街並みと美しいビーチのおかげで、陽光降り注ぐ南イタリアの陽気な雰囲気は伝わってくるが、登場人物にどこかひとつ共感できる部分が欲しかった。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて結婚式当日を迎えたマディはドレスに身を包み、ラフも遅れて教会に駆け込む。もちろん、すんなり挙式が進行するわけはなく、ここでも予想を裏切ってくれる。しかしそれは、どんでん返しというには稚拙なアイデアで、もはや荒唐無稽と呼ぶべき展開でしかない。何より、マディとラフが美女とイケメンなのに、テイラーがイマイチなのが残念だった。。。

オススメ度 ★★

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