こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション

otello2015-08-01

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション
Mission: Impossible - Rogue Nation

監督 クリストファー・マッカリー
出演 トム・クルーズ/ジェレミー・レナー/サイモン・ペッグ/レベッカファーガソン/ビング・レイムス/ショーン・ハリス/アレック・ボールドウィン
ナンバー 180
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

離陸する輸送機の胴体にしがみつき、オペラハウスのバックステージで格闘し、巨大な貯水槽で溺れかけ、バイクで爆走する。敵は英国諜報機関が生んだテロリスト、抜群の頭脳と冷酷な性格で世界再編を企んでいる。物語は米国に害をなすと認定されたスパイたちが、祖国との板挟みになりつつも正体不明の女と協力、陰謀を暴く過程を描く。今回主人公が挑むのは、跳んだり走ったりする運動能力よりも、むしろ握力や肺活量などの我慢の限界。地味ではあるが観客自身も身近なもので試せるだけに、苦しみとつらさがリアルに迫ってくる。全編、絶体絶命の連続に思わず肘掛を握りしめてしまった。

幻のテログループのボス・レーンを追うイーサン。ロンドンで逆に彼らに拉致されるが、イルサという女に助けられる。その後、イーサンはオーストリア首相暗殺を阻止するためにウィーンに向かうが、そこでイルサと再会する。

イーサンが危機一髪の時、必ず現れて命を救うイルサ。レーンの部下でありながらイーサンに接近し、テロ組織の全貌を記録したメモリを盗み出す計画を立てる。利用しているのか利用されているのか。とりあえず目的は同じ、イーサンたちは彼女の真意を測りかねるまま難攻不落の金庫を破る。その間、逃走するイルサのバイクを確保しようとレーンの殺し屋がスロットルを吹かせ、さらにイーサンが彼らを追跡する。入り組んだ市街地からハイウェイ、そして山間部の隘路で繰り広げられるチェイスでは、カメラを地を這うようなアングルのみならず俯瞰や並走で撮影するなど圧倒的な疾走感を体感させ、走行する自動車の隙間をすり抜け銃撃をかわす絶妙のハンドリングは間一髪のスリルを味あわせてくれる。そんな、アクロバティックな派手さより本物志向のアクションが臨場感を高めていく。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

イルサは上司の命令を受けた潜入諜報部員、だが身分は保証されていない。彼女にとってイーサンとの“同盟”は唯一の保険、時々の権力者に都合よく使われる現場のエージェントの悲哀が切実に再現されていた。

オススメ度 ★★★*

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