こんな映画は見ちゃいけない!

映画ライター・福本ジローによる、ハリウッドの大作から日本映画の小品までスポットを当てる新作映画専門批評サイト。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

otello2015-08-10

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

監督 樋口真嗣
出演 三浦春馬/長谷川博己/水原希子/本郷奏多/三浦貴大/石原さとみ/ピエール瀧/國村隼
ナンバー 189
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

指先でひょいとつまみ上げた人間を頭から丸かじりする巨人たち。その目に知性の光は宿らず、貪る満足感を表情に浮かべる。それは地球の環境を破壊し尽くした人類に対する天罰のようでもあり、新たな進化へ試練のようでもある。説明は一切なくただこの作品世界の現実として提示されるのみ。“理由”を考えるきっかけとなる文献や記録はなく、登場人物は目の前の巨人への対処法を迫られる。物語は巨人との攻防の中で希望を見出そうとする少年たちの葛藤を描く。為す術もなく喰われるだけの存在から抜け出すためには巨人の弱点を研究し殺す技術を磨き、活路を切り開いていかなければならない。「自分の人生」を手に入れるにはリスクを取る、壁の外を見てみたいという主人公の進取の気性こそが人間を進歩させてきた勇気と理性なのだ。

超巨人に壊された壁の穴から巨人が次々と侵入、エレンの幼馴染・ミカサも犠牲になる。2年後、壁の穴修復の調査団に志願したエレンは巨人ハンターとなったミカサと再会、自らも巨人を倒すテクニックを学ぶ。

壁の中の暮らしは電気や動力源に乏しく中世のような生活様式。社会はある種の統制が布かれ自由が制限されている。農業地帯を巨人に占領されたのちは食料不足が起きている。そんな状況で調査団に入隊した若者は錬度も意識も低い素人集団。むしろ別働隊の作戦を成功させるための囮、次々と自滅に近い形で巨人の餌食になる様子は「口減らし」の意図すら感じさせる。何を信じて何を目指せばいいのかわからないままエレンは巨人に戦いを挑む。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

やがて巨人に食われたエレンは巨人の胃の中で巨大化し超巨人に生まれ変わって巨人たちを駆逐していく。さらにエレンは失った手足が再生された姿で元に戻る。結局、エレンが闘うべき敵は巨人なのか体制なのかそれとも自分自身なのか、ここに至っては秩序は崩壊しあらゆる出来事が混沌の中でうごめいているばかり。後編でしっかり伏線が回収されることを願う。

オススメ度 ★★

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